エマージングウイルスにより発症する病気
エマージングウイルスにより発症する病気には 下記のようなものがあります <エマージングウイルスにより発症する病気> @エボラ出血熱 オオコウモリに感染し共存していた 繊維の形をしたRNAウイルスの エボラウイルスの感染により発症します ヒトに感染してエボラ出血熱を起こし 発症した人の血液 精液 注射針などを介して 感染が広がります 致死率が70%に及ぶ 大変危険な病気です @マールブルグ出血熱 もともとの宿主は アフリカミドリザルと考えられる エボラウイルスに類似したRNAウイルスの マールブルグウイルスの感染により発症します 症状はエボラ出血熱に似ていますが エボラよりは軽度のことが多く 致死率は20%以上の危険な病気です エボラ出血熱もマールブルグ出血熱も アフリカでの散発的な発生にとどまっており パンデミックには至っていません @SARS ハクビシン コウモリに 感染していたと推測される コロナウイルスの感染により 肺炎を起こします 現在 私たちを苦しめている 新型コロナウイルスの親戚のような存在です 2002年に中国の広東省で発症し 5ヵ月間で世界20か国に感染が広がりました 感染者は8098人 死亡者は774人で 致死率は約10%でした <エマージングウイルスの変異> エマージングウイルスは もともと野生動物と共存しており 宿主に病気は起こしていませんでした 宿主が死ぬとウイルスも増殖できないので ウイルスが宿主に 致死的な病気を起こさせることは 合目的的でないと考えられます たとえば スペイン風邪を引き起こしたのは H1N1型のインフルエンザウイルスで その子孫であるH1N1型ウイルスは 今でも毎年 季節性インフルエンザを起こしますが ウイルスの致死性は大幅に低下していて スペイン風邪のような惨事は起こっていません こうした変異が ウイルスにとって好ましい変化で ヒトに致死的な病気を起こさせる状況は エマージングウイルスにとっては 必ずしも好ましくないと考えられます 実際に 新しい宿主を積極的に殺すようなウイルスは 短期的には 強毒型に変異することも多いのですが 大流行後には変異して 長期間後には致死率が低下することが 少なくありません 上述したように 宿主が死んだらウイルスも生き残れないので そうした状況を避けるための 合目的的な進化としての変異と とらえる考え方もあります こうした推察には ヒトの主観が多分に入っているので 科学的ではないかもしれません しかし新型コロナウイルスが この先どのような変異を起こしていくのか 非常に興味深い点でもあります 早く 感染力が低く 致死率も低いウイルスに 変異して欲しいものです
高橋医院