心房細動の検査と治療
心房細動の検査と治療について説明します <検査> @心エコー検査 心臓の形 大きさ 各心房 心室別のポンプ機能の評価ができ 弁の開閉状態もよくわかります さらに 心室の壁の厚さを評価でき 他の心臓の病気がないかも調べられます また 脳梗塞予防のためには 血栓の有無 血流の滞りによるモヤモヤ所見の有無 が重要な所見になります @24時間ホルター心電図 発作性の場合は 発作の頻度 持続時間がわかり 慢性の場合は 1日の心拍数が適切か評価できます 1回の検査でみつからないときは 何度も検査を繰り返します @運動負荷心電図 心房細動の原因としての 虚血性心臓病がないか評価できます @経食道心エコー検査 心エコー検査では評価しにくい 心臓の奥にある心房内の 血液のよどみの程度 血栓の有無を 心臓の裏にある食道から超音波をあてることで 正確に評価できます @携帯型小型心電計・イベントレコーダー 滅多に出現しない 不整脈発作(イベント)をとらえるために 患者さんが常に携帯し 症状が出たときに 自分で心電図を30秒間記録できる装置です <治療の適応> 心房細動の原因となる病気がある場合は まずその治療を行います 原因疾患がなく かつ症状もない時は 治療を行わないことが多いですが 動悸などの症状で 日常生活に支障がある場合は 治療が必要になります 若い人 発作性の人は 症状が強いことが多く 高齢者 慢性の人は 症状が乏しい傾向があります 適切な治療を行えば 生存率は健常人と変わらなくなりますから 2~3回と発作が重なるなら 治療をした方が良いです 但し 100%に近い確率で根治できる治療法は 今のところありません <主な治療方法> 心房細動の治療には @完全に治そうとする治療 :抗不整脈薬 カテーテルアブレーションを用いる @症状をコントロールしようとする治療 :薬物を用いる の2種類があります <治療に何を求めるか?> 治療法を決める際には 患者さんが治療に何を求めておられるかを よく相談することが必要です つまり 患者さんが求めることは *完全に治したいのか? *症状をなんとかしたいのか? のどちらかということです それにより 治療方針の選択がなされます <治療方針の決定で考慮すべきこと> @年齢 若ければ(30~40歳代) 根治を目指し 自覚症状が強くなくても アブレーションも視野に入れて 積極的に考えます 中年なら(50~60歳代) 患者さんの希望 (根治を望むか 一生薬物でも良いか) 併存疾患の程度を考慮して決めます 高齢なら(70歳以上) 無理に根治を目指さず 症状の軽減を図り 脳梗塞などを予防する治療を選択します @症状の強さ 強い症状で苦しんでいる場合は 根治を目指して アブレーションの選択も考えます <発作性と慢性の治療法 治療効果の違い> @治療効果 発作性心房細動は 治療効果が高いですが 慢性になると 効果は低くなってしまいます 慢性での治療効果は 薬物で2割 アブレーションで5~6割とされ 経過が長くなればなるほど 効果は低下します 慢性になると薬も効きにくく アブレーションの成功率も下がるので できるだけ早目に治療した方が良いのです @発作性の治療 完治を目指した治療を行います つらい症状がなければ様子観察しますが 症状があれば薬物治療を行い その効果がなければ カテーテルアブレーションを考慮します @慢性の治療 症状の管理を望む治療が行われます 脈拍数が 安静時に毎分50以下 早足散歩後に130以上なら 心拍数を内服薬でコントロールする 治療を行います
高橋医院