ワクチンの有効率と持続時間
今日は 投与方法 投与時期 有効率など ワクチンの実際的な点について説明します <ワクチンの投与方法> @皮下接種 日本のワクチンは ほとんどが皮下接種です 小児へのワクチン接種で筋肉注射を行い 筋萎縮症という副反応が多発して 社会問題になったことが 影響していると考えられます @筋肉注射 日本では少ないですが 海外のワクチン接種は ほとんどが筋肉注射です 筋肉注射の利点は 皮下接種に比べて 局所反応がより少ないことと 多い容量がうてることです 免疫反応の惹起作用は 皮下接種も筋肉注射も同程度です ワクチン接種が 静脈注射でなく皮下接種 筋肉注射で行われる理由は 皮下 筋肉の方が 組織に貯まりやすくゆっくり吸収されるので 免疫系をゆっくり持続的に刺激できるからです 痛みは インフルエンザは低く 肺炎球菌は中程度 ヒブ 子宮頸がんはかなり痛い と言われています ワクチンに含まれている成分により 痛みの程度が規定されているようです @経口ワクチン 最近はワクチンの経口投与も 行われています 経口投与により その効用が注目されている 腸管の粘膜免疫系を刺激できます ちなみに 生ワクチンは粘膜免疫を刺激できますが 不活化ワクチンは刺激できません <定期接種と任意接種> @定期接種 対象となるのは 予防接種法により定められた感染症で 接種の対象 回数が決められていて 費用は公費で負担されます *A類 感染力 致死率が高く 集団予防が必要とされる感染症に行われます ジフテリア 百日咳 ポリオ 破傷風 麻疹 風疹 日本脳炎 結核 ヒブ 小児の肺炎球菌 ヒトパピローマウイルス感染症(子宮頸がん) 水痘 B型肝炎 *B類 個人での予防が期待される感染症に行われます インフルエンザ 高齢者の肺炎球菌 @任意接種 対象となるのは 身近に感染者がいる場合 海外渡航をする際に 施行した方がよいとされる感染症です おたふく風邪 A型肝炎 狂犬病 経費は自己負担になります <有効率> ワクチンの有効率は (非接種者罹患率―接種者罹患率)/ 非接種者罹患率 x 100 という式で計算されます 有効率が意味するのは ワクチンを接種した人の X%が病気に罹らなかったということではなく ワクチンを接種しなかった人の X%は接種していたら罹らないですんだ ということです 微妙にニュアンスが異なるのですよ 有効率はワクチンの種類で異なり たとえば 麻疹は90%で インフルエンザは年によっては30%程度 です インフルエンザウイルスは 毎年変異することが影響しますが 有効率が低いワクチンは 使用している病原体成分が 弱い免疫反応しか起こさせていない可能性があります <効果持続時間> ワクチン接種当初に得られていた効果が 半分以下に減弱する時間で 50年以上 破傷風 風疹 麻疹 ジフテリア 20年 おたふく風邪 3年 百日咳 4ヶ月 インフルエンザ とワクチンの種類により異なります ワクチンにより形成される免疫学的記憶の持続作用が 異なる可能性が示唆されています
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