リズムが乱れる不整脈
リズムが乱れる不整脈の代表は 期外収縮です <期外収縮> 脈拍の3つに1つ 5つに1つといったように 時々脈が飛びます 規則的に電気を送る洞結節とは 別の場所から電気信号が発せられ やや早いタイミングで 心臓に電気が流れる病態です 異常自動能の亢進による 本来ならば出現しない異常な自動能が 突然働いて起こります 不整脈の症状を訴える人のなかで 一番多い不整脈で 30歳を超えると ほぼ全員に認められるようになり 年をとるにつれて増加し 60歳以上では 60~70%で起こっています 数が少ない場合は 生理的な不整脈ともいえて 健康な人でも 1日に数十回は期外収縮が起きています 自覚症状がないケースも 半数以上あります ベースに心疾患がなければ 突然死に結びつくことはなく 特別な治療は必要なく 定期的なホルター心電図などの 経過観察で充分です 症状は感じない人の方が多いですが 感じる場合は やや早期に心臓が収縮するので 心室が充分に血液を貯めこんでいない状態での 収縮になり 充分な量の血液を送りだせず 脈圧が弱く 脈としてふれることができません しかし次の脈拍では 逆に前回の不足分も合わせた 大量の血液が送りだされるので 脈圧が強くなり 激しい動悸を感じたり 喉や胸の不快感 キュッとしたごく短い時間の痛み を感じる人もいます 期外収縮が連続して出現したときは 一時的に血圧が下がり めまいや動悸がすることもあります しかし いつの間にか気にならなくなることが多いです 期外収縮が1日に数千 数万回も起こると 心臓に負担をかける可能性があるので 心臓の動きが悪くなっている場合は 治療を考慮します 抗不整脈薬の投与 カテーテル治療 などが行われます <上室性期外収縮> 心房 房室結節から異常な電気的興奮が発生して 通常より早いタイミングで心房が収縮します ストレスや 睡眠不足による 自律神経のバランス異常が 原因になります 危険なサインは *心房細動の兆候がないか *心臓病の合併症がないか *ひどい自覚症状がないか といったことです そうしたことがなければ 無治療で良いですし あれば β遮断薬 抗不整脈薬などで治療します 自覚症状が特にひどい場合は 安定剤の服用も考慮します 症状がない場合は 基本的に治療は必要ありませんが 狭心症 心筋梗塞 心筋症など 不整脈の原因となる疾患を持ち合わせていたり 危険な不整脈に移行する可能性があれば 抗不整脈薬が必要になります 期外収縮の回数では 治療適応は決まりません 精神的ストレス 睡眠不足 疲労は 期外収縮を悪化させるので 規則正しい生活を心がけ 生活習慣を改善するようにします <心室性期外収縮> 心室内で生じた異常自動能により起こります 多くは病気とは関係ありませんが 一部は心筋梗塞や心筋症が 原因で起きている場合があり 心室細動などの危険な不整脈に 移行することがあり得ます そうした場合は 心筋梗塞部位と正常な心筋部の間から 異常自動能が発信されます 重症度分類があり グレード1 1時間に30回未満 グレード2 1時間に30回以上 グレード3 発生源が2ヵ所以上 グレード4 2連発 3連発以上 グレード5 R on T 興奮が鎮まる前に また収縮する に分けられます 注意すべき場合は *心不全 心筋梗塞がある人 *異なった波形の期外収縮が 多形性・多源性に複数認められる *連発する R on T *めまい 失神をともなう などの場合です 治療は まずはβ遮断薬 抗不整脈薬が用いられ 心機能が低下していれば 降圧薬のACE阻害薬 ARBが追加されます 薬が効かなければ カテーテルアブレーションを考慮します
高橋医院