前回紹介した筋線維芽細胞
さまざまな因子の刺激により活性化されます

<線維芽細胞の活性化因子>

線維芽細胞の活性化には
*ケモカイン
*炎症性サイトカイン
(TGF-β PDGF IL-1β IL-6 IL-33 TNF-αなど)
*ROS
*脂質メデイエーター
*アセトアルデヒド
といった多くの因子が関与します

これらの活性化因子は
血小板 傷害を受けた上皮細胞など
炎症局所に存在するさまざまな細胞が産生します

@血小板

傷害された血管内皮細胞のコラーゲンなどに接して
活性化され凝集を起こし
その過程でTGF-β PDGFなどを放出します

@傷害された上皮細胞

*Th2反応を誘導するIL-25 IL-33
*線維化を増悪するIL-13
などを産生して 線維芽細胞を活性化します

@M2マクロファージ

TGF-βを放出します

線維芽細胞の活性化因子についてまとめた図


<TGF-β>

線維芽細胞の活性化に関わる最も主要な分子です

TGF-βの作用をまとめた図

この分子の働きを抑えると
各臓器の実験的な線維化が抑制されます

たとえば抗酸化物質は
TGF-βのシグナル伝達を抑制して 実験的肝線維化を抑制します


@筋線維芽細胞の活性化

TGF-βは
ECMのインテグリンにより活性化され
線維芽細胞に活性化マーカーα-SMA発現を誘導し
I型コラーゲンの産生を誘導し
線維芽細胞の収縮能を高めます

TGF-βによる筋線維芽細胞の活性化機序をまとめた図

また
上皮細胞 間質細胞からの
コラーゲン フィブロネクチン産生を促進します

@各種線維芽細胞から筋線維芽細胞への転換反応の促進

EMT MMT EndoMTといった
各種の線維芽細胞から筋線維芽細胞への転換現象を
促進する作用もあります


TGF-βによる各種線維芽細胞から筋線維芽細胞への転換反応をまとめた図

一方で 過剰な免疫応答を抑制する機能も有しています


<その他の線維化活性化因子>

@PDGF

血小板により産生され
線維芽細胞を局所に集積させて活性化します


@CTGF

TGF-βの細胞膜受容体への結合を促進します


@インターロイキン

IL-1β IL-6 TNF-αなどの炎症性サイトカインが
肝臓 腎臓などの
さまざまな臓器の線維化に関与します


@ROS 活性酸素

過剰に産生されたROSは
細胞を傷害し線維化を促進します

またNOXsを介してTGF-βと協調作用を示します


@脂質メデイエーター

フォスファチジルコリンなどは
TGF-β産生 マクロファージのM2分化を促進して
線維化を促進します


@アセトアルデヒド

TGF-βと協調してコラーゲン産生を増強します
この現象は 肝臓だけでなく心臓でも見られます


@エクソソーム

ストレスを受けた細胞が放出するエクソソームは
マクロファージにストレスシグナルを与えて
線維化を促進します

 

高橋医院