日本循環器学会が
7月に開催された今年の学術集会のオープニングセレモニーで
新型コロナウイルス感染症をめぐる
京大のiPS研究所の山中先生と
8割おじさんとして有名になられた理論疫学の西浦先生の
記念対談を企画されました

新型コロナウイルスの流行における意思決定
未曽有の状況下でどう考え どう判断するか

その模様がYoutubeで公開されたので 拝見しました

オープニングセレモニーのポスター


<感染制御と経済・政治との関わりの難しさ>

まず山中先生が
色々と話題となった専門家委員会でご苦労された西浦先生を
大変でしたねと労われたところ

労う山中先生

西浦先生は こんなふうに答えられました

専門家のメッセージが
社会に必ずしも正確に伝わっていない

専門家委員会が関与した
社会活動の自粛などの対策による
経済活動へのダメージがあまりに大きかったので
一端 状況が改善してから
かなりの社会的批判を受けた

語る西浦先生

ただ 経済を重視する人の論理は
「この感染症は風邪に近いものだ」
という誤解だと危惧している

なんとか第1波が収束できたあと
この感染症の制御は本当に難しいと
改めて痛感している

語る西浦先生


西浦先生の正直な告白を受けて
山中先生が このように語られます

経済活動にストップをかけるのは大変で
誰もやりたくない辛い作業だと思う

この役割は
本来は政治家が決断して行うべきものなのに

語る山中先生

日本では
科学者だけに責任があるかのような構図になってしまった

語る山中先生

誰が経済を止めると決めるべきかを明確にすべきで
そうでないと
科学者が萎縮して何も言えなくなってしまう

こういう状況は とても不健全に感じられる


<科学を軽視する社会的風潮の危うさ>

西浦先生は こう応えられます

第1波のスピードは
従来の官邸 厚労省の判断スピードでは
追いつけないほどのものすごいものだった

だから
専門家会議が前に出て説明せざるを得なかった

日本では残念なことに
責任の所在が明確にならない形で議論が進行し
科学的事実が政策決定のように伝わってしまった

語る西浦先生

そして
科学と経済の対立の中で
科学的事実を軽視するような論調があることは
危惧されるべきことだと思う

危惧する西浦先生

実際に自分のところには
強迫の手紙 電話などがものすごくたくさん来た

日本では
科学顧問がおらず
司令塔がどこかはっきりしない

科学者として 政治家や官僚と対応するのが
かなり困難だった

と吐露されていました

専門家会議のメンバーの記者会見の様子

西浦先生は
本当に色々とご苦労されたのですね

書き手は今回の一連の流れを見ていて
正直言って
政治の優柔不断さや主体性のなさを強く感じました

安倍さんは小中高の先輩なので
悪口は言いたくありませんが
もう少し本質を見据えた力強いリーダーシップを
発揮していただきたいと思います

科学 政治 経済の難しい関係は
今後もしばらく続いていくことでしょう

注目していきたいと思います


それにしても
おふたりの対談がこういう話題から始まったことは
ちょっとビックリでした(笑)
高橋医院