7月中旬に国会で参考人として意見を述べられた
東大先端研の児玉龍彦先生が
「東京が新たなエピセンター化しつつある」
と述べられて 注目を集めました

国会で意見を述べられる児玉先生

エピセンターって なに?

不謹慎な書き手は
「“えびせん”が予防に役にたつのかな?」などと
医院のスタッフを煙に巻いたりしていました(苦笑)

そう 新型コロナの予防には
イソジンのうがいでなく えびせんですよ?

イソジンうがい液とかっぱえびせん

あ おふざけが過ぎてスミマセン(再苦笑)

で エピセンターという言葉は
書き手も初めて聞いたのですが

新型コロナウイルスのパンデミック
というコンテクストでは
「新たなタイプのウイルスが増殖する震源地」
というニュアンスで使われているようです

エピセンターについて説明する図

東京型の新しいウイルスが増えている?

東京型の新しいウイルスが増えている可能性を示すグラフ

児玉先生のお話をうかがったときは
半信半疑でしたが
それを裏付けるデータが
8/5に国立感染研から発表されました

感染研が発表した論文


感染研では
日本で流行している新型コロナウイルスの
全ゲノム配列を分析して
その変異の動態を1月から経時的に
比較し続けています

ちなみに 現在のところ
新型コロナウイルスの変異が起こる速度は
4月の時点では
1年間で25.9ヵ所の変異が起こるスピードとされ
直近では 24.1ヵ所のスピードとされていて
変異が起こるスピードには変化がないようです

で 日本で1月から始まった流行は
最初は中国・武漢から発したウイルス株と
ほぼ同じでしたが
その封じ込めには成功しました

しかし 4月上旬からの感染者の増加の際には
ヨーロッパ株が検出されて
ヨーロッパ各地から帰国した人が
変異した株を持ちこんで
同時多発的に流入 増殖したと推定されました

中国株 ヨーロッパ株について説明する図

5月下旬には
この流行は収束に向かいましたが

6月上旬から
東京を中心として少しずつ感染者数が増加傾向へ転じ
7月上旬からは
地方でも感染者が増加し始めています

この感染増加の際の新型コロナウイルスは
4月に流行したヨーロッパ株と比較して
さらに6ヵ所が変異していることが
明らかにされました

但し 3ヶ月間で6ヵ所
つまり1月で2ヵ所の変異ですから
変異のスピードが上がっているわけではありません

で 4月から7月にかけては
感染者数は少なかったのですが

この間に
軽症者や無症状者が静かに感染を維持し
ウイルスも変異を起こし

6月下旬から経済活動が再開し 
全国で人の移動が起こり
新たなウイルスが
東京から全国に拡散した可能性があると
感染研は分析しています

新たなウイルスが東京から全国に拡散した可能性を説明する図

なるほど そういうことでしたか

児玉先生は このデータの一部をご存知で
あの「エピセンター化」発言を
されたのかもしれません

日本の感染者数の経時的推移を示すグラフ

新たな変異が認められた6ヶ所が
ゲノムのどこの場所にあるかわかりませんが
感染性や病原性に深く関わらない場所であることを
願うばかりです
高橋医院