新型コロナ・マスクの必要性の変遷
マスクの着用は 新型コロナウイルス感染予防対策の 「基本中の基本」です 特に日本では 今回のパンデミック以前から 花粉症やインフルエンザの時期を中心に 日常的にマスクを着用する人が多かったので 当然のことと考えられています しかし「日本の常識は世界の非常識」で マスク着用は 世界では必ずしも受け入れられておらず 日本の街で多くの人がマスクを着用している様子は 欧米の人たちには むしろ奇異なものとして認知されていたようです 世界での日本人のトレードマークといえば 昔はメガネ 今はマスク?(笑) つまらない冗談はさておき WHOも当初はマスクの有効性を認識しておらず 症状がない健康な人がマスクを着用すべきだと判断するには 十分な証拠はないと主張していたのです 新型コロナウイルスのパンデミックが始まった 3月の時点でも 「マスクは人々に マスクさえしていれば大丈夫と いたずらに安心感を与え 医療現場で必須の防護具を医療従事者から奪うことになる」 という理由もあり 無症状の人はマスクをする必要はないという立場を 固持していました 咳などの症状がある人は 他人にうつさないためにマスクをする必要があるけれど 無症状の人がマスクをする意義や 未感染の人の予防効果は確かでないと 考えられていたのです こうした背景もあり 3月半ばの時点でマスク着用を推奨していた国は わずか10か国程度に留まっていました しかしWHOは6/5に 新型コロナウイルスをめぐるマスク着用指針を変更し 他人に感染させないために 公共の場での着用を推奨すると発表しました マスク着用により 「感染力があるかもしれない飛沫を遮断」できることを示す 新たな研究結果を踏まえた対応だと説明しています というのも 新型コロナウイルス感染は これまでの呼吸器感染症とは異なり 自覚症状が出現して発症する前から 人にうつしていることが明らかになってきたことに加え 咳でなく普通の会話でも飛沫が拡散し感染の機会が増え マスクを着用すると ほとんど飛沫は飛ばなくなること も明らかになったのです さらに 家族のメンバーに新型コロナ感染者が出た家庭で 最も感染が広がりにくかった要因は 「発症前からのマスク着用」であった とするデータも報告されました こうした研究成果には 日本も大きく貢献していると思われます このようにWHOはしっかり方針転換しましたが 「マスクは感染リスクを減らす道具のひとつにすぎず マスクさえしていれば大丈夫だと いたずらに安心してはならない」 との強調は変えませんでした ちなみにアメリカのCDC・疾病予防センターでは 4/3の時点で 新型コロナウイルス流行地域での 無症状者のマスク着用を推奨しており 日本でも5/4から「新しい生活様式」として 屋内では無症状者もマスクを着用することが 推奨されています このようなWHOの転換もあり 今ではマスク着用を推奨する国は 130ヶ国以上に増えています ドイツやフランスでは 公共の場でマスクをしていないと 日本円で1万円以上の罰金が科せられるようです しかし WHOやCDCがこんなに推奨しても アメリカなどでは マスク着用が個人の自由に関する議論と結びつけられ 論争の焦点になっていて そもそも個人には自由があり 市民はどう行動すべきかを 政府から指示されるのでなく 公共の利益のために自己決定するものである という固い信念が背後にあるようです 特にアメリカ イギリス カナダなどでは 他の国に比べマスク着用に積極的ではないようです うーん マスクの着用が 個人の自由云々に関わってくるというのは どうも理解しづらい気がします だって イスラムの女性のブルカのような 信仰が絡んだデリケートなことでなく ウイルス感染予防のためのマスクの話ですよ どうしてそうなるのかな、、、 でも 最近は 当院に通院されている欧米の患者さんたちが 「日本人のマスクをバカにしていたけれど あなたたちが正しかったということがよくわかった」 と言ってくれるようになりました(笑)
高橋医院