今日は マスクにまつわる
スウェーデンと日本の話題をご紹介します

<スウェーデンではマスク着用をしない>

スウェーデンのマスク着用率は 6%!



そもそも北欧・スカンジナビアは
どこもマスクに懐疑的で
北欧の専門家は マスクの効果について
確たる証拠が不足していると考えているようです

また マスクを過信することで
ソーシャルディスタンスを縮めてしまうなど
より重要な対策がおろそかになるデメリットがあるとも
考えています

この点は WHOも危惧していましたね

しかし 前回ご紹介したWHOの勧告により
最近は ノルウェー デンマーク フィンランドの
他のスカンジナビア諸国では 
マスクを着用するようになりました

それでもスウェーデンでは マスク着用を推奨していません

スウェーデンのコロナ対策を率いる疫学者のテグネルさんは
「マスクが状況を一変させると考えるのは非常に危険だ」
とまで言い切ります

マスクに効果があることを示す29個の研究について
WHOが実施したメタ分析では
病院以外の場所でのマスク着用を対象とした研究は3つだけで
残りの研究のうち
新型コロナウイルス感染症と関係したものは1つもなかった
と指摘します


さらにスウェーデンでは
テグネルさんが率いる公衆衛生庁のような
政府と独立した機関がとても強い役割を担っていて
国民からの信頼も厚く
政治家が言うことより公衆衛生庁が言うことの方が
信用されています

だから
スウェーデンの保健機関が
マスクを着用する理由はないと言ったら
市民はマスクをつけない




しかし さすがに最近の研究の進展により
スウェーデンの疫学者さんたちも考えを変えつつあり
「公共機関では一定期間に限りマスク使用を推奨すべきだ」
「マスクだけを過信するのは危険だが
 マスク以外の対策がきちんと実施されているなら
 マスクは効果があるだろう」
といった意見が述べられるようになっているようです



こんなある意味でユニークな
スウェーデンのコロナ対策については
この後にご紹介しようと思います


<日本人は誰もがマスクをする理由>

前回 ご紹介したように
日本は世界に冠たるマスク大国
初めて日本に来た外国人は
街中で多くの人がマスクを着用しているのを見て
びっくりされるようです

では どうして日本人は皆 マスクをするのでしょう?
それだけ 公衆衛生意識が高いのでしょうか?



そんな疑問を解き明かす研究成果が
同志社大学心理学部から発表されました



研究グループは
3月末の感染者が増大し
緊急事態宣言が出される直前に
1000人の日本人を対象に
マスク着用に関するアンケート調査を行いました

対象となった人々の平均年齢は51.5歳で
男性485人
20代12.4% 30代15.7% 40代18.8% 50代15.9%
60代26.8% 70代9.9% 80代0.6%
女性515人
20代11.5% 30代14.6% 40代16.9% 50代14.8%
60代31.5% 70代10.1% 80代0.8%
でした

質問されたのは マスクを着用する理由

*感染した際の重症度を低下させるため
*自分への感染防止のため
*他人に感染させないため
*着用していないことへの不安を緩和するため
*周囲と同調するため
*感染を防ぐためにやれる対策は全てやろうという衝動のため

という6つの理由それぞれについて
全くそう思わない(1点) から 非常にそう思う(5点) までの
5段階スケールで点数をつけてもらいました

得られた結果は
同調 3.47点
やろうという衝動 3.40点
他人に感染させない 3.08点
不安を緩和するため 3.02点
重症度を低下させるため 2.97点
自分への感染防止のため 2.57点
でした


さらに各理由の実際のマスク着用との関連をみると
同調 0.44
不安を緩和するため 0.16
自分への感染防止のため 0.06
やろうという衝動 0.05
他人に感染させない -0.06
重症度を低下させるため -0.06
でした


ということで
日本人のマスク着用には
「周囲との同調」が強く関連づけられていて
本来のマスク着用の目的であるはずの
「他者への感染防止」との関連は
極めて弱いことが示されました



要するに
感染予防を考えているのではなく
他人が着けているので自分もそうしている
ということ!?

うひゃー! ビックリです

でも いつか話題にしたように
日本人は世間からの同調圧力に弱いですから
なんとなくうなずける気もします



アンケートを実施したのが3月末でしたから
今なら もう少し感染予防という意識が
高くなっているかもしれませんが
マスク着用のベースにあるのは そういうことなのですね

なんかなあ、、、(苦笑)

ちなみにこの論文の著者は

「日本人のこうした傾向は
 過剰な相互監視を助長するおそれもあり
 慎重な取り組みが求められる」

と考察されています



悲しいことに 笑えませんね(再苦笑)
高橋医院