グローバリズムの更新へ
ここで「グローバリズムの更新」という 大きな目標設定が提示されます ヘルマンさんは ヨーロッパの貧しい国をどう助けるか? どの国がお金を出すか? ドイツは1000億ユーロを支払う ドイツにとっても巨額だが 経済力をEUの安定のために使うことに決めた これはドイツにとって初めての試みである EUが どのようにしてお互いを助けあい お金を分配するかの議論が続いている とEUの現状を分析します EUは最終的に共同基金を設立して この問題点を解決することができました
<新興国を巻き込んだ新たなグローバル体制へ> デュフロさんは グローバルサプライチェーンの生産拠点を よりさまざまな国に分散すべきで 分散型のサプライチェーン 供給連鎖は グローバルな公共財である と指摘します 特に エチオピア パキスタンといった 海外市場に向けて産生しておらず 国際市場を獲得していない国の新規参入が大事で これらの国は 中国に代わる補完的な存在になれるけれど 先進国の企業が そうした選択をしないのが問題で 彼等は なぜリスクを冒して 中国から新たなパートナーに代替する必要があるのか?と 考えてしまう パートナーを育成し 新興国の能力 技術を向上させるための努力に投資することは 公共財への投資と同じことで 彼等にチャンスを与えるべきだ 新興国を切り捨てるのではなく 世界的な公共財としてのネットワークを構成する 生産国 消費国 という単純な枠組みを超えた より複雑なグローバルチェーンを いかにして構築していくかが 今後の大きな課題だと指摘します 書き手は この番組で初めて彼女の話を聞きましたが 彼女の視野は大きくて 個人的にはかなり刺激的でした <グローバリゼーションの真の問題点は何か?> ここでナレーターが 前回のシリーズで紹介された 経済の複雑性 輸出データから分析した産業構造について 再び言及します 日本の産業は 多様な産業で構成されていて 第2次産業も残したままの複雑性があるので これが今の状況で 優位に立てる可能性がある ものつくり と おもてなし 第2次産業と第3次産業の中間をゆく2.5次産業が 日本が進むべき道の可能性ではないかと指摘します こうしたコンテクストで ヘルマンさんは 現在 製造業よりサービス業で働いている人が多いが 今のサービス業は 製造業と同じように工業化されていて しかも かつての産業と同じルールに基づいて 効率 生産性も恒久的に上がっている サービス業と製造業の間に 本当の意味での違いなどない しかし 教育や介護の分野では 効率・生産性を上げられておらず そこをどうとらえるかが問題だと 論を展開していきます 真の問題は 物の商品の領域では生まれない グローバリゼーションにおける真の問題点は 金融のグローバリゼーションに他ならない たとえば タックスヘイブンは 母国から税金というお金を盗んでいるようなもので 政府を維持するための 何十億ものお金が支払われていないので タックスヘイブン産業は止めなければならない 投機に制限がないことも問題で 今は お金が国に流れ込んでは 再び流出している これは実体経済にとって非常に有害なことだ 物品取引のグローバリゼーションと 貨幣のグローバリゼーションは異なるものだ と強く主張します <グローバリズムの更新へ> 一方 デュフロさんは 政府が介入して支援したリ 国際社会が支援することで 企業による公共財造りが上手くいく コロナ後の新しい世界における秩序は そのような視点から形成されるべきである と述べます ベトナムやカンボジアは 日本にとって良いパートナーになる可能性があり パートナー国との間で 社員や専門家などとの恒久的な関係を築いていくことが大切だ 新興国は 生産地でもあり 消費地でもある 援助でなくパートナーとすることは 公共的投資であり 双方の回復力を上げることができる これが withコロナ時代の新しい新興国との交流の仕方ではないか と説きます ここでスティグリッツさんが登場し パンデミックでグローバルな経済が滞っている今こそ 国際協力が重要で その必要性が高まっている 気候変動と戦うためにも 地球規模の協力が必要で そのような新たな意味で グローバリゼーションがこれほど重要になったことは かってなかった 日本には どんな国とも柔軟に交渉できる島国としての強みがあるので こうした状況では活躍できるのではないかと 期待を寄せてくれました
高橋医院