新型コロナ・インフルエンザの季節を迎えて 何が問題なのか?
お知らせしたように 当院では今年も例年通り インフルエンザワクチンの接種を開始しました しかし今年は 新型コロナ禍のなかで 世間がいつもとは少し異なる様相を呈しています なんといっても マスコミが煽る! 「デュアル・パンデミック」なんて 確かに言葉の響きはキャッチーですが(苦笑) 必要以上に不安感を掻きたてているように感じます 最近つくづく思うのですが こういうマスコミのスタンスはどうなのでしょう? で インフルエンザの季節を迎えて リアルな医療業界では どのような話題になっているか ご紹介しようと思います SCIENCE Lancet JAMAといった代表的な医学誌で 新型コロナウイルスとインフルエンザの関連が 議論されているのは事実です それらの記事や論説で語られている主たるポイントは *新型コロナウイルスとインフルエンザは 互いに影響を及ぼし合うか? *ふたつのウイルスの共感染はあるのか? *インフルエンザのワクチンの効果はあるのか? *初めて迎えるコロナ禍でのインフルエンザの季節に どのように対処すればいいのか? といったことです Sci Advでは *新型コロナウイルス対策で行われている ソーシャルディスタンス マスク 手洗いなどは インフルエンザの予防にも効果的だ *インフルエンザワクチンは 特に高齢者で効果を発揮するだろう *共感染は 一定の頻度で起こり得るだろう と述べています SCIENCEでは 新型コロナウイルスとインフルエンザは 互いの感染に影響を及ぼすか? と大きな疑問を投げかけたあと *共感染については 頻度は比較的まれで 互いの重症度に影響を及ぼすことはないだろう と推測し *対策として重要なのは 両方を一度に検査できるシステムの確立と インフルエンザワクチンの接種を徹底して広めること と述べています Lancetでは *現在までの世界でのインフルエンザの流行は 予想よりかなり少なく ソーシャルディスタンスの徹底といった 新型コロナウイルス対策が功を奏しているのだろう と推測していますが 北半球が冬を迎えるこれからの季節に ダブル・エピデミックが起こる可能性は否定できないので *両方を一度に検査できるシステムの確立と インフルエンザワクチンの接種を 徹底して広めることが大切だ とSCIENCEと同じ対策を提言しています JAMAでは *新型コロナウイルスとインフルエンザの鑑別は重要で インフルエンザなら抗インフルエンザ薬を使えるし 新型コロナウイルスのように患者の隔離に 神経質にならなくても良い *だから 両方を一度に検査できるシステムの確立が大切である *共感染は 比較的少ないと推察されていて ニューヨークでは2.1% カリフォルニアでは0.9% と報告されている *インフルエンザワクチンは 新型コロナウイルス感染の予後を改善し 致死率を下げる *ワクチン接種をしていれば ICUへの入室率は8%下がり 人工呼吸器の装着率は18%下がり 死亡率は17%下がる *南半球でのインフルエンザの流行は低いので 新型コロナウイルス対策により インフルエンザの流行も抑止できるだろう と述べられています このように各誌とも ほぼ同一の問題点を提起し 同じような結論を導いているのがわかります つまり *新型コロナウイルスとインフルエンザの鑑別診断は しっかりと行うべきである *共感染については それほど心配しなくても良いのではないか? *新型コロナウイルス対策が インフルエンザの流行予防にも功を奏すると思われる *インフルエンザワクチン接種は しっかり行うべきである ということです 怖れるべきことと その対処法が 少し明確になったでしょうか? 次回は 問題提起された諸点について もう少し詳しく解説しようと思います
高橋医院