エマニュエル・トッドが語るコロナ後の未来・3
トッドさんは 世界情勢の分析を始めます <米中対立は何を生み出すか?> 米中対立の根底にあるのは アメリカのグローバリゼーション疲れで アメリカの対中貿易の赤字は ここ20年間で5倍も増えていて グローバリゼーションの歪みが限界に達している しかし この米中対立が 次の時代の扉を開くカギとなるだろう そもそも グローバリゼーションが米中の対立を生み 中心的な問題になってきていた だから 米中対立の激化により 脱グローバリゼーションが実現する可能性がある アメリカも中国も 感情的にならず 理性的に対応していくことが大切だろう そうすれば 米中関係は将来的にはポジティブな関係になり 戦争は起きないのではないか? 中国は アメリカのグローバリゼーションに乗ったけれど それにより輸出頼みの経済構造になり 内需が育たなくなってしまった 中国もまた グローバリゼーションの囚人なのだ 中国にとっても これを機に経済構造を内需向けに転換できるので 悪いことではない だから 世界の将来にとっては 米中の対立の激しさは むしろ良いことなのではないか? <新たな世界の勢力関係はどうなる? 米中以外の国は?> ロシアがカギを握ると思う ロシアはいまだに アメリカの唯一の軍事競争国だが ロシア自体は 既に自国が世界を動かせる国だとは考えていないし ヨーロッパに進出できるとも考えていない 一方でロシアは 中国に経済的に支えてもらう見返りに 中国に軍事技術を提供している だから アメリカが中国を抑え込むには そんなロシアと上手くやるしかない <日本は 米中対立のなかでどのように振る舞えばよいか?> アメリカとの同盟は欠かせないが 中国との貿易も欠かせない アメリカにとって日本は 戦略的同盟国であり続け 経済的パートナーでもあり続ける 中国も 経済成長が鈍化しているので 日本と対立しては利益が得られないだろう 米中双方にとって 日本はより重要な国になっていくだろう <トランプについて アメリカについて> トランプがこれまでに打ち出してきた政策は 大統領選挙の結果に関わらず 今後も変わらず続くだろう アメリカの国内回帰の動きは もはや止められない トランプが一度勝利していることは事実で この流れは たとえ民主党政権になっても止められないだろう パンデミック後の米中対立に悲観的な見通しを語る人が多い中で トッドさんのロシアまで巻き込んだ意見は ユニークで興味深いです また アメリカでトランプが勝ったことがある という事実の評価も共感できます 確かにアメリカを分断させるような あれだけ多くのトランプ的なものへの 岩盤支持層が存在しているのは事実です 大統領選の結果や好き嫌いは別として こうした事実があるということを 認識しておくべきだと思いました
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