マリアナ・マッツカートが語るコロナ後の世界・2
「企業家としての国家」の重要性を 訴えられたマッツカートさんは 国家と企業のバランスについて語られます @国家か企業かの二者択一でなく連携が必要 国家は 危機に陥った分野や企業の尻拭いをするだけでなく イノベーションを起こす創造的な役割を果たすべきで クリエイティブな投資を行うことができる組織を 国が持つべきだ 大きな目標と戦略を掲げ 医療 デジタル革命 気候変動などの分野で 大胆で創造的なイノベーションを実現するためには どんな国家機関が必要か 民主主義のプロセスにより考えるべきである 一方 企業は 株主至上主義でなく 従業員やコミュニティなどの関係者全員が恩恵を受けられ 自然環境にも配慮した文化を創造するべきだ 国家と企業が そのような努力をそれぞれしたうえで 国家と企業が連携していかなければならない @気候変動などの危機の連鎖に どのように立ち向かうべきか? 環境破壊により コウモリなどと人との接触の機会が増え 新たなウイルスに接触する原因になった これまでの経済のコンセプトである大量生産 大量消費は 気候変動 環境破壊を招いた間違った方向で 危機が起きるまで何も策をとらなかった各国の姿勢が パンデミック 気候危機 金融危機を招いたと言える 実際に危機が起きてから 多額の公的資金を用いて対処しても遅すぎるのだ これからの社会では 危機を未然に防ぐ多角的な経済政策が必要となる たとえばEUでは 市民 NPOが国と一緒にプロジェクトに投資するシステム が採択され そのプロジェクトをもとに CO2削減策が練られているし 複数の国々がこのプロジェクトに投資している また 国家が公的資金を用いて イノベーションを主導するやり方もある コロナ危機下で多くの公的資金が企業に投入されている今こそ こうしたシステムを利用して 産業界のグリーン化を促進すべきである 国は 経済のグランドデザインを描いて 支援していくことが重要で 長期的視野で持続可能な経済成長を目指すべきで 今は そうしたことが行える絶好のチャンスといえる @短期的利益が得づらいクリーンエネルギーに国が取り組む意義は? 国が政策により 企業活動に方向性を持たせることが大切で 望ましい活動をしない企業には経済的支援をせず 公的資金を公共の利益にあった企業活動に投入すべきだ そして 公共の利益は 市民が議論して社会が決めるべきである 政府と 市民団体 労働者 研究者などが 議論して方向性を決めるシステムが必要だが 残念ながら多くの国で こうしたシステムがうまく稼働していない @資本主義の新しい在り方 GDPや経済成長率を測る基準の価格ではなく 数値で表せない価値を評価すべきだ これまでは 目先の価格にとらわれ過ぎて本当の価値を見失い 価格で測れないものをないがしろにしてきた 今回のパンデミックでは 価格ばかりに注目して医療費を削ってきた国で 医療崩壊が起きたが 公的医療の本当の価値を 価格 コストなどの基準だけで測っていたために 起きた悲劇だ 教育なども お金だけで評価することはできないが 逆にお金をかければ 効率よく上手くいくというわけでもない @withコロナ時代の価値観とは? 危機に際して国家がなんとかしてくれる という考え方は捨てるべきだ また 資本主義の在り方を考え直すべきで 株主のためだけでなく 皆のための資本主義にしなければならない そして 持続可能なクリーン成長を目指すべきだ 科学者たちだけでなく 詩人たちの力も必要で 全ての市民の参加も必要になるので 一人一人の姿勢が問われている パンデミックを機会に 効率や価格にばかりとらわれる価値観を捨て 新たな価値観に基づく経済活動を行うことが大切で 地球環境を考慮した持続可能なクリーン成長を目指すべきだ というコンセプトが再び強調されていましたが そこに国家が主導的立場で関与すべきというのが マッツカートさんのオリジナルな主張で とても興味深いものでした 勉強になりました
高橋医院