トランプ ホントに勝ってしまいそうですね

いや~ なんというか
こちらの認識が甘かったか~(苦笑)

それにしても
今回の結果に衝撃を受けている人は
少なくないことでしょう


さて 吉田先生は続けて
今の時代のポピュリズムの特徴を分析されます

語る吉田先生

今の波の特徴は
社会の分極の源泉が
アイデンティティに関わるものになっていること

社会が分極している様子
アイデンティティについて悩む人

トランプは さまざまな多様化が社会で進むなかで
マイノリティーに没落する恐怖に陥っている
白人・男性・労働者というアイデンティティに訴えかけた

白人で男性の労働者

そして
中国 メデイア イスラム過激派 ワシントンの既成エリートなど
個人のアイデンティティを脅かす敵を常に作り出し
その情念や怨念を煽ることにより市民を動員している

暴力的に訴えかけるトランプ

トランプに煽られている市民

こうした政治が一定の効果を得ていることは
個人のアイデンティティが揺らいでいることの裏返しでもある

トランプの煽りとは関係ないように見える
Me Too運動やBLM運動の加速の背景にも
「私は何者か?」という問いが存在している

「私は何者か?」と問う人々

そして
社会の構造的差別の原因はこの違いにあると捉えられ
自分と違う人たちへの不安 不満 怒りが
政治を動かす大きな力になっている

かつては具体的な空間の共有をもとに成り立っていた政治が
経済的 社会的グローバル化にともなって空洞化し
それを埋めるように
個人のアイデンティティを問う意識が発芽している

そうか アイデンティティ

書き手は以前から
トランプは映画のバットマンにでてくる
ジョーカーのような存在だと思っていました

バットマンにでてくるジョーカー

人の心の奥底に眠っている負の情念を
巧みに呼び起こさせて 煽り 行動を起こさせる

その「負の情念」は何なのだろうと思っていたのですが
アイデンティティの危機だったのですね
なるほどです


吉田先生は

こうした「アイデンティティの政治」
政治に参加するための強い動機になる利点がある一方で
特定のアイデンティティに個人が強く縛られ
囚われの身のようになってしまう危険性がある

と指摘されます

アイデンティティの政治を主張する人々

そもそもアイデンティティの政治には
政策的な解がなく 合意が難しいという問題がある

自分のアイデンティティをかけた戦いは
他者への怒りや憎悪という感情を増幅しやすく
さらにトランプのように政治家が自分の支持につなげようと煽ると
妥協や解決は困難をきわめてしまう

罵りあう人々

なるほど 社会の分断は
こうした構図で生まれてきたのですね

社会が分断している様子

そして 分断を生み出す「負の情念」は
アイデンティティの危機にともなって発芽してくる
他者への不寛容だったのか

アイデンティティの危機と不寛容について書かれた書籍

アイデンティティって
根源的なものだけれど 厄介なものですね(苦笑)

最後に吉田先生は 将来の展望を語られます

ポピュリズムの脅威を指摘してきたけれど
歴史的に見た場合 
ポピュリズムは過渡的な現象で長続きしない

過去の第1の波は
民主党のルーズベルト政権を生み出し
それを支えたニューディール連合につながり

ニューディール連合のポスター

第2の波は
レーガン政治に代表される新自由主義に吸収されて
ポピュリズムそのものは雲散霧消した

新自由主義を訴える人たち


では 今の第3の波はどこへ向かうのか?

それを占うには
トランプ政権の4年間を
世界がどう評価し学習するかにかかっていると
吉田先生は指摘されます

トランプのような強烈な政治家ですら
既存の政治を変えることができなかったとみるか

それとも
リベラルな価値感や戦後の国際秩序を踏みにじったことを
許せないとみなすか

これは
自国第一主義の流れが続くか リベラルな国際秩序が回復するかの
分岐点にもなるが
はたしてどちらに着地するのだろう?

とてもわかりやすい解説でした!

そしてアメリカの人たちは 前者を選んだようです、、、

個人的には
製造業の衰退とIT化・デジタル経済への転換が起きているなかで
全く新しい価値観が生まれるのか
それとも過去の価値観のいずれかに帰するのか
にとても興味があります

ふーっ それにしても また4年間
あの品も知性もない男の言動を見聞きしないといけないなんて
これは 悲劇を通り越して喜劇ですね(苦笑)

はたしてアメリカは そして世界は
いったい どうなってしまうのでしょう?
高橋医院