去年11月初めに NHKスペシャルで
新型コロナ 全論文解読 ~AIで迫る いま知りたいこと~
という番組をやっていました

番組の宣伝画面

NHKが開発した人工知能AIを使い
全世界で発表された
コロナ関連の20万本以上の論文を解析して
ホットな情報を提供しようとする企画で

全論文の文字情報を読み取らせ
どういうワードがよく使われているか?
どの論文とどの論文が関係しているか?
といった関係性を解析して

今 何がホットな研究か 
何に注目すべきかを明らかにします

解析の方法を説明する図

なんだか面白そうですね!


<日本の冬に感染者は急増するか?>

冬での感染に関する350論文の解析をして
頻出ワードを検討すると

冬での感染に関する350論文

3位に出てきたワードは ビタミンで
冬に日照時間が短くなると
体内でのビタミンD産生が減るので
免疫力が低下して感染拡大リスクが高まる
というお話です

冬場のビタミンD不足と感染の関連を説明する図


1位は気温 2位は湿度 でした

気温 湿度とウイルスの生存時間の関連を示す論文

気温と湿度がウイルスの生存時間を規定し
低温 乾燥の条件下では
ウイルスの生存時間が長くなり
感染リスクが高まると考えられているそうです

冬にウイルスの生存時間が延びることを示すグラフ

ですから
新型コロナウイルスに限ったことではありませんが
冬はウイルス感染に用心する必要がありますが

不幸なことに
まさにそのことを実感させられている今日この頃ですね



<なぜ日本では死亡者数が少ないのか?>

日本をはじめとする東アジアの国では
欧米諸国に比べると死亡率が低く
その原因がさまざまな論文で検討されています

東アジアでは死亡率が低いことを示すグラフ

@交差免疫

交差免疫については既に説明しましたが

普通の風邪の原因となる季節性コロナウイルスへの
過去の感染により獲得した免疫が
新型コロナにたいして交差免疫を発揮し 
重症化を防ぐとされています

交差免疫が重症化を防ぐことを示すグラフ

重症化率は 季節性コロナウイルスへ
既感染があると4.8% 
ないと28.1%と報告されています

既感染があると重症化率が低いことを示すグラフ
既感染があると重症化率が低いことを示すグラフ・その2

交差免疫の利点としては
重症化を防ぐ以外にも
たとえ感染してもウイルスの排出量が多くなく
社会での感染の広がりが大きくならない
という利点があります

交差免疫の利点を説明する図

この交差免疫の強さが国により異なるので
死亡者数に影響している可能性があり
いつかご紹介した東大の児玉先生が行われた解析によると
日本人の75%が交差免疫を有しているそうです

日本人の75%が交差免疫を有していることを示すグラフ

児玉先生は
コロナウイルスの仲間は
これまでに東アジアで頻繁に流行を繰り返してきたので

コロナウイルスの仲間が東アジアで頻繁に流行を繰り返してきたことを示す図

そのためではないかとコメントされていました

@マスク着用の効果

興味深かったのは
マスク着用の効果に関する新たな知見で
感染を予防するだけでなく
免疫を獲得できるというのです

マスク着用で免疫を獲得できるという論文

マスクをしていると
たとえ感染しても無症状のことが多く
無症状感染の割合が92.3%まで上がるそうで
しかも これらの無症状感染者は
全員が免疫力を獲得していたそうです

無症状感染の割合が92.3%まで上がることを示すグラウ

マスクをしていると
吸い込むウイルス量が少なくてすむため
微量感染の繰り返しにより免疫細胞が訓練されて
作られる抗体の量が増えると考えられています

微量感染の繰り返しにより 免疫細胞が訓練されることを示すグラフ
作られる抗体の量が増えることを示すグラフ

うーん 面白いですね
こんなことは考えたことがありませんでした
高橋医院