新型コロナ・風邪とは異なる新型コロナの真の脅威
NHKスペシャル 新型コロナ 全論文解読 ~AIで迫る いま知りたいこと~ の紹介を続けます <収束はいつ? 決定打は?> 世界で最もよく読まれているコロナ関連の論文を書かれた 15人の研究者に いつ 何が パンデミックを収束に導いてくれるのか? と問いました 収束時期は2021~2022年との予測が多かったようです 決定打は なんといってもワクチンで ほとんどの研究者が ワクチンなしにパンデミックは収束できないと考えています ワクチンの有効率により 収束時期の予測は大きく異なるだろう 全ての人に打てる有効で安全なワクチンがいつできるか? といった意見も聞かれました 今回 コメンテーターとして登場された宮坂先生は これまでに同定されたコロナウイルスに 有効なワクチンはできていないのが心配と 懸念を示されつつも インフルエンザワクチンにより どの病原体にも効く自然免疫が強化されるので 新型コロナ予防にもある程度効果はあるのではないかと 期待を寄せられていました 司会陣から「なにをもって収束とするか?」という 本質に迫る質問が出されましたが このウイルスを完全に駆逐するのは困難で 季節性ウイルスとして残るだろうというのがコンセンサスでした 書き手もそう思っています <風邪とは異なる新型コロナの“真の脅威”> ここで 最近注目されている 新型コロナウイルスの新たな病態が紹介されます それはPCR検査で陰性化したあとも長期間続く さまざまな全身症状です 最近は こうした後遺症のような症状を Long COVIDと呼ぶことは既にご紹介しました で 全論文調査により報告を検討すると 長く続く奇妙な症状は 全身のいたるところに100種類以上も現れています 普通の風邪では こうしたことはあまり起こらないので 新型コロナウイルスに特徴的なことと言えます なかでも 急上昇しているワードが ブレインフォグ 脳の霧 3か月以上も 発熱 めまい 頭痛 激しい倦怠感 頭にモヤがかかったようにボーッとする症状が続くことです こうした症状がある患者さんの脳のMRIを検討すると 記憶力 感情を司る脳の部位に 炎症が起きていることが示されました 脳への異物の侵入を防ぐバリアの働きをする脈絡叢に 新型コロナウイルスが細胞に侵入する際に使われる受容体のACE2が 発現しているため バリアが壊れて新型コロナウイルスが脳内に侵入して 炎症が起こり ウイルスが消えたあとも持続すると推察されています だから 呼吸器症状が治まったあとにも 倦怠感が長時間持続し 思考力 集中力が落ちてしまうことが起こり得るとのこと 症状が長く続きやすい人の特徴としては 80%が女性で 平均年齢は44歳 女性に多い理由は 自己免疫が関与しているからではないかと お馴染みのイエールの岩崎先生は推察されていました このように 新型コロナウイルスと普通の風邪との大きな違いは 普通の風邪ウイルスは呼吸器系にしか感染しませんが ACE2は全身の臓器の細胞に存在するので 新型コロナウイルスは多くの臓器に感染し さまざまな全身症状を引き起こすことで しかも人によって生じてくる症状が異なります 全く 厄介なウイルスですね <究極のウイルス対策> 最後に 正しく怖れるためには? という質問に答え 感染予防に関する急上昇ワードが発表されました 注目されたのが加湿です ウイルスが侵入する喉の奥には 線毛運動 粘液の働きにより ウイルスなどの異物を排除するバリア機能が存在しますが 湿度が低いと線毛運動が低下するので 異物が排除できません 湿度が40~60%で 線毛の働きがいちばん良くなるので 目標湿度は50%だそうです これは 新型コロナウイルスだけでなく 一般のウイルスや細菌の感染予防にもあてはまることです また 湿度の維持は 空気中のウイルス対策にも役にたち 湿度が高いと 咳で発生した飛沫が早く落ちるようになり 飛散するマイクロ飛沫量が半分に減るそうです 一方で 湿度が高すぎるとカビが生えるし 加湿する際は ウイルスが下に落ちやすいので 掃除も充分にした方が良いとのこと 紫外線も注目されていて なかでも波長222nmの紫外線は 10秒で88.5%も新型コロナウイルスの量を減らせて なおかつ人の肌の深部の細胞を傷つけないので 効果的にウイルスが除去できるそうです 番組の最後に 宮坂先生は 基本はあくまで 3密回避 手洗い マスク 換気で そこを守れば それほど怖れるウイルスではない と言われていました さて 書き手は 結構お勉強が好きですし 新型コロナウイルス感染は書き手の専門の免疫にも絡むので 色々な文献を注意して読んでいるのですが 今回の番組を見て AIによる全論文解読は 実際に何が起こっているか全体像を見ることができるので とても有用だと思いました どうしても自分の専門の周囲にばかり注目して 木を見て森を見ずの状況になりがちなので AIをこうして利用していくのは効果的だと思います なかなか面白かったです!
高橋医院