ブルターニュの忍者変異株?
新型コロナウイルスの変異株に関する情報 最後にご紹介するのは まだちょっとマユツバ的なもので ニュース等では報道されていますが しっかりと論文化された情報は得られていません だから少し肩の力を抜いて読み流してください でも オチはエイプリルフール! というわけではありませんよ(笑) フランスの南西部に位置するブルターニュ地方は 大西洋に小さな半島が突きだしたような地域で 観光地として有名な世界遺産のモン・サン・ミシェルも このブルターニュ地方にあります 北の海に面した保養地のサンマロには 書き手も夏休みに行ったことがありますが 朝夕の潮の満ち引きがとても大きくて のんびりとした心が休まる田舎町でした この地方はケルト文化の影響が強い フランスの他の地域にはみられない独自の文化を有していて 民族衣装もこんなに独特です ローマがヨーロッパ大陸を席巻する前から暮らしていたケルトの民は ローマ人に押されて 大陸の最果てでもあるこの地に追いやられ ここから海を渡りアイルランドなどに逃げた人々も少なくありません ですからケルト文化共有圏の一部と言えます そんなブルターニュ地方の名物料理といえば 蕎麦粉でできたクレープのガレット カリッと焼き上げられていて とても美味です 合わせるのは リンゴの発泡酒のシードル グラスでなく陶器のカップで楽しみます あ なんだか観光案内のようになってきましたが(苦笑) この愛すべきブルターニュから 従来のPCR検査をすり抜けてしまう新たな変異株が見つかったと 3/15にフランス保健省が衝撃の報告をしました 2/22にArmor地方のLannion病院で 79人の大きなクラスターが同定され このうちの8人が今回同定された新たな変異株に感染していました この変異株はスパイクタンパクに9カ所の変異を有していて 変異株に感染した8人は COVID19の臨床症状を有していましたが なんと初期のPCR検査では陰性だったのです 8人の患者さんたちは後に 血液や肺から得たサンプルで コロナ陽性であることが確認されました フランス保健省は この新たな変異株はフランスの他の地域では見つかっておらず 現時点では感染性や致死力がより強いことも明らかにされていない と報告しています この衝撃的なニュースはフランス中で大々的に報道され 日本でもテレビニュースを中心に報じられました しかし約2週間経過した現在の時点で ブルターニュ変異株の続報は伝えられていないようです このブルターニュ変異株は 臨床症状を呈していたにもかかわらず どうして初期のPCR検査をすり抜けてしまったのでしょう? 時間が経過したあとの血液や肺から得たサンプルでは 陽性の結果が得られているので PCR検査のプライマー設定の問題ではなさそうです 感染初期ではウイルス量が少なかったのでPCRで引っかからず さらに病態が進展してウイルス量が増えて 初めてPCRで同定されるようになったのでしょうか? 詳細は解りませんが そんな“忍者ウイルス”のような変異が起きているとしたら それもまた大きな問題です 8人の患者さんたちの詳細な臨床経過の公開が待たれます ということで3日間にわたり 変異株に関する最新の話題をご紹介しました ひとことで言うと 変異株・恐るべし! そして変異株に対する防御策は これまで同様 マスク 手洗いを励行し 人混みを避けることに尽きます それ以外に手はありません 日本でも既に変異株が優勢になりつつあるのでしょうか? 当院でのPCR検査も3月中旬辺りから再び増え 陽性者も散見されるようになりました 東京そして日本全体が 数週間後にひどい状況になっていないことを願うばかりです
高橋医院