ワインの話題が延々と続いているので
ちょっとお口直しに
「ブドウの粕取り蒸留酒」の話をしましょう

ブドウの粕取り蒸留酒は
ブランデーと同じくブドウが原料ですが
ワインを造る際に出てくる
ブドウの絞り粕が原料になります

ブドウの絞り粕

アルコール度数は30~60度と高く
食後酒として楽しまれるのが一般的です

世界のブドウの粕取り蒸留酒

そのアルコール度数の強さから
食後に一気に飲み干すと
胃を刺激し消化を促す効果があると言われています

また ブドウの香りを
より洗練された形で楽しむことができます

粕取り蒸留酒は 世界各地で造られていて
イタリアではグラッパ
フランスではマール
スペインではオルホ
と呼ばれています

マールは
ブランデー“もどき”で
粕取り蒸留酒としてはお上品な味わい

オルホは
その反対に荒々しくて粗野な味わい

書き手は
粕取り蒸留酒のブドウの香りをいちばん楽しめるのは
グラッパだと思っています


<マール>

フランスで造られるマールの語源は
つぶす 砕く という意味で
まさにブドウの搾りかすをつぶして砕いて原料にします

マールに使用されるブドウの搾りかす

マールは おフランス製らしく
造った後に必ず樽熟成を行うので
グラッパのような無色透明なものは存在しません

マールのボトル

フランス国内の法律により
13地域のみが地名の付いたマールを製造できます

なかでもシャンパーニュ ブルゴーニュ産は
品質が優れていますが

シャンパーニュで造られたマールのボトル
ブルゴーニュで造られたマールのボトル

約6割がお手頃ワイン産地のラングドック地方で
作られています


<オルホ>

オルホは
スペイン北西部のガリシア地方を主な産地とする
スペイン産のブドウ粕取り蒸留酒で
地元の小規模なワイン製造業者が
ホームメード・オルホを造っています

ガリシア地方の地図

そういえば 同じスペインでも
首都マドリッドやバルセロナ アンダルシアなどでは
レストランやバールでオルホを目にすることは
ほとんどありませんが
ガリシア地方に行くとよく見かけました

オルホのボトル

あの辺りは
スペインの中でも独特の文化 雰囲気があり
オルホもそうした文化を彩る
大きな要因のひとつになっています

ガリシア地方の観光宣伝ポスター

スペイン語では
ブドウを潰した後に残る粕をオルホと呼び
まさに原料そのものが名前の由来です

オルホのアルコール度数は37~45%もあり
世界のブドウ粕取り蒸留酒の中でも高い方で
粗野な味わいとアルコールの強さオルホの特徴でしょう

ガリシアで造られたオルホのボトル

 

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