高尿酸血症の新たな話題を紹介しましたので
その重要な合併症である尿路結石について解説します

尿路結石とは
腎臓から尿道に至る尿路である
腎臓 尿管 膀胱 尿道に結石が生じる疾患です

尿路結石についてまとめた図


<疫学>

@年間罹患率

2015年の全国疫学調査では
人口10万人当たり 137.9人の患者さんが
1年間に新たに発病しています

食習慣の変化により
2005年までは増加傾向にありましたが
2005年以降は横ばい~微増となっています

尿管結石の疫学についてまとめた図

@生涯罹患率

生涯で尿路結石を発症する人は
男性は15.1%(7人に1人)
女性は6.8%(15人に1人)
とされています

@有病率

尿路結石を患っている人は
人口10 万人あたり429 人(男性309人 女性120人)
とされます

@性差・年齢差

男女比は2.4:1で
昔からずっと男性に多い病気です

現代では
*30~60歳代の壮年男性
*閉経後の女性
に高頻度に見られます

性差・年齢差についてまとめた図

@地域差

欧米 中東 熱帯諸国
高温 乾燥地域に多いとされ
東アジア諸国では低率です

@食習慣の変化が増加傾向の主たる原因

食習慣の変化との関係を示した図

動物性タンパク質 塩分 果糖の摂取量増加
発症の増加に関与します

動物性タンパク質 塩分 果糖の摂取量増加と発症増加の関係を示した図

肥満の影響も大きく
特に女性の方が影響が大きいとされます


<存在部位>

上部(腎 尿管)が96%とほとんど
下部(膀胱 尿道)は4%にすぎません

尿管結石の存在部位と頻度をまとめた図


<症状>

突然に生じる背部の激しい痛み 血尿が特徴的です

突然に生じる背部の激しい痛み 血尿が特徴的なことを示す図

@腎結石

無症状で経過することが多いため
検診などで偶然発見されることもあります

腰部の鈍痛のみが自覚されたり
結石周囲の細菌感染のために
膿尿や細菌尿のみを認めるということもあります

@尿管結石

腎結石が尿流に沿って尿管内に落下し
結石による尿流閉塞と腎盂内圧の急上昇によって
腰背部から側腹部にかけての
激痛や下腹部への放散痛が 突然 生じます

痛みの部位は 結石のある側腹部から背中が中心で
激痛で じっとしていても
体を動かしても痛みは変わりません

あまり痛みが強いと 反射で吐き気が生じ
嘔吐することもよくあります

夜間や早朝に起きることが多く
通常 3~4時間持続します

腎盂腎炎を併発し
38~40度の発熱を呈することもあります

@膀胱結石 尿道結石

残尿感 頻尿などの膀胱刺激症状のほか
尿流の途絶が生じることがあります

結石の排出時には
通常 排尿痛や違和感を伴いますが
無自覚に排石されることもあります

存在部位による症状の差異をまとめた表


<結石の種類>

@カルシウム石

シュウ酸カルシウム リン酸カルシウムが主成分で
尿路結石の92%を占めます

カルシウム石がメインであることを示す図

@尿酸結石

5.5%と少なく
男性3.4% 女性1.2%で減少傾向にあります

@リン酸マグネシウムアンモニウム結石

1.4%しかなく さらに減少傾向にあります
尿路感染症により生じます


また 特徴的な形態を示すものもあります

@サンゴ状結石

腎結石が腎臓内で増大して鋳型状になったもので
無治療で経過観察した場合は腎機能の悪化を招くことが多く
PNL ESWL TUL 開放手術といった
積極的治療が望まれます

サンゴ状結石の存在部位を示す図
サンゴ状結石のレントゲン写真

@嵌頓結石

尿管内の同一部位に長期に位置し
尿管との癒着が強い結石です
高橋医院