総胆管結石 肝内結石
今日は 総胆管結石 肝内結石について解説します <無症候性総胆管結石は治療すべきか?> 総胆管結石は 急性胆管炎発症のリスクがあるので たとえ症状がなくても全ての症例は治療すべきと 推奨されています また 胆管内で結石が形成されることは比較的まれで 総胆管結石の多くは 胆のう結石が流れてきたものです 実際に 胆のう結石に総胆管結石が合併することは少なくなく 症状のある胆のう結石の10~20%に合併しています ですから 胆のう結石では MRCP ERCPなどで総胆管結石の併存の有無を検討し ある場合は胆管炎がなくても治療すべき と推奨されています @治療 *内視鏡的総胆管結石除去術 口から内視鏡を挿入して十二指腸まで進め 十二指腸乳頭部を切開するか バルーンで拡張してから バスケットカテーテル(胆石を取り出す器具)などで 総胆管内の胆石を取りだします 胆のう結石を合併している場合は この処置の後に胆嚢摘出手術を行います *外科手術 腹腔鏡か開腹で行われます 十二指腸乳頭部に影響を与えずに 一回の手術で治療を行うことができるのが利点です また10年以上の長い期間で観察すると 外科手術の方が胆管結石の再発率が低い という報告もあります 急性胆管炎をともなう場合の治療は あとで詳しく解説します <肝内結石の治療> @無症状 悪性所見がなければ 画像検査で定期的に経過観察します @症状がある場合 *結石の種類 結石のある部位 *最初に結石のできた部位 *胆管の太さの異常 *肝機能の状態 などを総合的に判断して 治療方針を決めます @外科手術 *肝切除術 *十二指腸乳頭部の乳頭形成術 胆道再建といって胆管を切除して小腸を肝臓の胆管につなぐ手術 などが選択されます <肝内結石症と肝内胆管がん> 肝内結石症は 肝内胆管がんのリスクファクターです 発がんの頻度は4~12.5%で がんの90%は結石存在部位に存在しています 肝内結石症の治療後の経過観察中に 肝内胆管がんを発症することも多く *繰り返す胆管炎 *胆汁うっ滞 が原因と推察されています ですから 症状がなくても 定期的に慎重に画像検査を行い 経過観察すべきです <胆石の治療後の経過観察> @胆のう結石 胆のう摘出をした後は 経過観察は不要です @胆管結石 治療後も再発することがあります 特に胆のう結石があり治療していない場合は 要注意です @肝内結石 定期的に経過観察して 肝内胆管がんに充分に注意します <胆石の予防> @胆石のリスクが高い人 上記に該当するような人は 胆石のリスクが高いと考えられています @生活習慣病の改善 生活習慣病 肥満 糖尿病 脂質異常症などに 気をつけることが大切です @ライフスタイルの改善 過食・暴飲暴食を避け 規則的な食生活を心掛けます @食事の改善 *食事と食事の間をあけないようにする 食べない時間が長くなると 胆のうの中で胆汁が濃縮されて 石ができやすくなるのです 同様な理由で 1回にたくさん食べないようにします *脂質を摂りすぎない 天ぷら フライ ステーキ 中華などの食後に発作が多い 脂質を摂りすぎないようにします 胆汁中のコレステロール濃度を高めないよう コレステロールの制限も心掛けます *食物繊維は充分に摂る コレステロールの吸収を抑えたり コレステロールを含んだ胆汁を排泄させる働きがあり 胆石を予防しますから 積極的に摂るようにします *アルコール 香辛料は控えめに 胃酸分泌が増えると胆のうの収縮を強めてしまうので 胃酸の過剰分泌を引き起こす アルコール飲料 香辛料などは 過度に摂取しないように注意します
高橋医院