ロワール地方と言えば 白ワイン

ロワールで栽培されている
白ブドウについて解説します

ロワールで栽培されている
白ブドウをまとめた図


<サンセールとプイイ・フュメ>

サンセールとプイイ・フュメは
よく似ていて 混同されることが多いので
両者の違いを説明しましょう

サンセールやプイイ・フュメには
他の産地に真似のできない気品があります

@サンセール

ブルゴーニュ地方のシャブリ地区に近いため
土壌もシャブリに似ています

土壌は
*シャブリと同じミネラル豊富な粘土石灰質からなるテール・ブランシュ
*石灰岩の小石からなるカイヨット
*火打ち石や粘土を含んだシレックス土壌
の3種類に分けることができます

サンセールの畑"

醸造でも野生酵母を使うなど
自然な造りを行う生産者が多いようです

フレッシュでシャープな酸味があり
ハーブのような清涼感のある香り
レモンやグレープフルーツなど柑橘系のフレッシュな果実味
引き締まった酸とミネラル感
火打石のようなミネラルの香り
クリスピーな口当たり
などを特徴とするワインで

サンセールのボトル

一般的に熟成させず 若いうちに楽しまれます

あまり高い温度だと
味わいがぼけてしまいますので
6〜8度程度にきりっと冷やして飲みます

冷蔵庫(4度)で一晩寝かせて
室温で15分ほどおくと
ちょうど飲み頃の温度になります

サンセールは 日本料理とも相性がよく
素材の味を生かした魚介料理は
特に喜ばれるマリアージュです

@プイイ・フュメ

ブドウが栽培される土壌が
牡蠣の殻から出来た岩や
ライター石の原料となる岩から生成され
石灰質を多く含むため
そこから生み出される独特な香りやミネラル感
プイイ・フュメの個性で
サンセールとの違いとなります

プイイ・フュメの畑

フレッシュながらもまとまりがあって
よりふくよかな味わいがあると言われています

極辛口で長期熟成にも耐えうるワインで
サンセールより一貫した個性を持っています

現在では世界的にシャルドネに次ぐ人気の品種ですが
この地域のワインといえば
サンセールが圧倒的な知名度があり
フュメはいまひとつ人気がありません

色は明るめの黄緑色
ミネラル成分を多く含むためキリっとした味わいとなり
さわやかな酸も感じられ
ソーヴィニョンブランの特徴である爽やかさ
レモンやグレープフルーツのような果実の香りも
豊富に感じられます

プイイ・フュメのボトル

最上級のプイイ・フュメはサンセールに比べて
華やかで複雑であると表現されます

また 生産量がサンセールに比べて少ないため
プイイ・フュメの方が
サンセールに比べて価格が高いことが多い

ちなみにプイイ・フュメのフュメは
フランス語で煙や燻製を意味しており
ワインに火打ち石のような
スモーキーなニュアンスがあることに由来します

<ミュスカデ>

ミュスカデのブドウ
ミュスカデの起源はブルゴーニュですが
現在は主にロワール地方の
ペイ・ナンテ地区で栽培されています

ミュスカデが好む冷涼で石灰質を含む土壌が多く
大西洋の豊富な海の幸を使った料理との
相性が良いブドウ品種です

外観は
ややグリーンがかった淡いイエロー

フレッシュな柑橘系の香りを持ち
爽やかで溌剌とした酸の味わいが感じられる
軽快な口当たりが特徴です

ミュスカデの外観の色

よくブルゴーニュのシャブリと味が近いと言われますが
ミュスカデの方が
よりさっぱりとした味わいです

冷やし気味に6度程度で飲み始め
徐々に温度が上がって8度くらいになると
最も美味しくなります


<シュナン・ブラン>

シュナン・ブランのブドウ

酸が豊富なブドウなので
辛口ワインはもちろん
甘口のワインを造ってもバランスが良く
スパークリング・ワインの原料にも適しているため
世界中で栽培されています

シュナン・ブラン特有の
白い花の香り爽やかでしっかりとしたドライな酸味があります

シュナン・ブランの特徴をまとめた図

日照時間が長く
ブドウがしっかりと完熟した作柄の良いヴィンテージでは
生き生きとした酸とともに
凝縮した蜂蜜の香味を有するワインが造られます

サヴニエールというAOCで産生される
シュナン・ブラン
ロワールを代表する最高の辛口白ワインとして知られています

サンセールやプイィ・フュメに比べ
価格が高く生産量も少ないのですが
熟成することでこの上ない完成度に仕上がり
酸味の骨格がしっかりしているため
20年以上の熟成に耐えられます

シュナン・ブランの特徴をまとめた図

若いうちは
ミネラルが豊富で柑橘系果実が感じられますが
熟成していくと
蜜のようなアミノ酸系の旨みがある複雑な味わいとなり
10年以上寝かせると
再び強いミネラルが感じられるようになります
高橋医院