フランス各地のワイン紹介

今日は北東部を離れ
古城が美しい中西部のロワール地方に移動します

ロワール地方の位置を示す地図

フランス中央部から西部にかけて流れる
ロワール川沿いに位置するロワール地方は

大西洋に面した西側の下流は 海洋性気候で
中央部の上流では 気温差の大きい気候です

上流と下流の気候の差異を説明する図

その風光明媚な景観は観光スポットとしても有名で
「フランスの庭園」と呼ばれ
各地に美しい古城が点在しています

ロワール地方に点在する美しい古城

ロワールは 北緯47度前後に位置し
フランスのワイン産地としては
シャンパーニュに次ぐ冷涼な土地です

甘口から辛口まで
さまざまなタイプのワインが生産されている
ロワール地方ですが

ボルドー地方やブルゴーニュ地方と比べると
全体的に親しみやすく価格がお手頃なワインが
多く生産されています


<ワインの特徴>

白ワイン
軽快な口当たりで酸味や果実味が引き締まったものが多く

赤ワイン
軽めの渋みが心地よいバランスの取れたものが多い

気候が
西の海洋性気候から東の大陸性気候に変化していくに従い

西の地域から東の地域での気候の差異を示す図

主要ブドウ品種が
白は
ミュスカデ シュナン・ブランからソーヴィニヨン・ブランに
黒は
カベルネ・フランからガメイに
それぞれ変化していきます

<AOC>

1935年に制定されたAOCでは
*ミュスカデ
*カンシー
*サンセール
*ヴーヴレ
の4つが 最初のAOCとして認められました

<各地区で産生されるワインの特徴>

ロワール地方のAOCの場所を示す地図
ロワール地方のAOCの場所を示す地図・その2
@ペイ・ナンテ地区

大西洋に注ぐロワール川の河
口近くにあるナントを中心とする地区で
ミュスカデ カベルネ・フラン シュナン・ブランなどが栽培され
特にミュスカデが有名です

@アンジュー・ソーミュール地区

ロゼ・ダンジューというロゼの銘柄が有名で
ロゼワインが多く造られています

ロゼ・ダンジューのボトル

ロワール川の支流のレイヨン川流域では
過熟したり貴腐化したピノー・ド・ラ・ロワールから
秀逸な甘口の白ワインが生み出されています

@トゥーレーヌ地区

全体的に軽いタンニン果実を感じられる味わいが特徴の
美味しいシュナン・ブランが栽培される地区です

一方 赤ワインのシノンも造られます

@サントル・ニヴェルネ地区

ロワール地方の一番東 フランスの中央部にあり
ソーヴィニヨン・ブランを100%使用した
サンセールとプイイ・フュメがよく知られています

サンセールとプイイ・フュメの位置を示す地図

サンセールとプイイ・フュメは
ロワール川を挟んで対岸に位置し
プイイ・フュメのブドウ栽培面積 生産量は
サンセールのおよそ半分です

<ロワールの白ワイン>

ブルゴーニュの白ワインといえば
誰でもシャルドネを思い浮かべますし
その味わいも重厚なものが多い

一方 ロワールの白ワインは
一般的に軽やかでフレッシュなものが多く
さまざまな品種による
気軽に愉しめるタイプが多いです

ロワールの白ワインの特徴をまとめた図
フードフレンドリーで
料理と一緒に味わうことで
その表情を一変させます

ボルドーやブルゴーニュのグランヴァンは
ワイン単体で愉しめるので料理がなくても問題ありませんが
ロワールワインは なかなかそうはいきません

それだけに
日々の日常の食卓で楽しめるワインと言えるでしょう

<ロワールの赤ワイン>

トゥーレーヌ地区で造られる赤ワインのシノン
ロワール川流域でも最高の赤ワインと名高く
カベルネ・フランから
果実味溢れる重厚でバランスの良いワインが造られています

シノンのボトル

@カベルネ・フラン

カベルネ・フランの特徴をまとめた図
カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロとブレンドする品種
として栽培されていますが
カベルネ・フラン主体もしくは単独で
造られるワインもあります

ボルドー地左岸メドックグラーヴ地区では
代表的なブドウ畑で1〜2割程度で
カベルネ・フランが栽培されており
常にカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロと
ブレンドされています

ボルドー右岸の赤ワインは
メルロを主体で造られますが
メルロとのブレンドに骨格を与える品種を選ぶ際に
カベルネ・ソーヴィニヨンではなくカベルネ・フランを選ぶことが
少なくありません

カベルネ・ソーヴィニヨンから造られるワインよりも
色調が薄くタンニンも少ないのが特徴で
カベルネ・ソーヴィニヨンのワインより幾分早く熟成します

カベルネ・フランのアロマをまとめた図

最近は健康志向で
人々がボリュームのある肉料理を控えたり
オーガニックの食材を使用した
シンプルな料理を好む傾向が高まってきて
食事に合わせるワインも
パワフルさより飲み心地の良さやエレガントさが
求められるようになってきたため
ここにきて改めてカベルネ・フランが注目されています

<ロワールのロゼワイン>

「シノン」「ブルグイユ」といったロゼワインは
カベルネ・フラン90〜100%で造られます

シノンのボトル
ブルグイユのボトル

中程度のボディ木苺やすみれの花のような可憐な香りがし
口当たりが滑らかで程よい酸味のある上品な味わい
独特の青い草やピーマンのような香り
もあります
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