IgG4関連硬化性胆管炎の
治療と予後について説明します

<ステロイド治療>

IgG4関連硬化性胆管炎と診断されたら
原則としてステロイド治療が行われます

特に閉塞性黄疸 急性胆管炎
胆道外のIgG4関連疾患の合併例では
できるだけ早期の治療開始が推奨されています

@寛解導入

通常30~40mg/日から開始し 2~4 週間継続します

寛解導入後
血液生化学検査 画像検査(US CT MRCP など)で
ステロイドの効果を確認しながら
1~2 週間毎に5mgずつ減量し
ステロイド開始から2~3カ月を目安に維持量まで漸減します

自己免疫性膵炎の膵腫大は ほぼ全例で改善しますが
胆管狭窄は
IgG4値が高値持続例の58% IgG4正常例の27%で残存します

@寛解期維持療法

再燃予防のために
維持量5mg/日前後で
3 年を目安とした長期投与が望ましいと考えられています

その後 維持療法の継続 減量 中止を検討します

ステロイドの減量や中止の検討は可能ですが
再燃のリスクが高いことを念頭に慎重に行うべきです

また全経過を通して
再燃 悪性腫瘍の鑑別
ステロイドの副作用に注意することが必要です

@再燃

ステロイド治療後の再燃は
*黄疸などの症状の再出現
*画像検査により改善していた胆管狭窄の悪化
*新たな胆管狭窄の出現
*胆管外病変であるIgG4関連疾患の異常所見が認められる場合
と定義され
血清IgG4値の再上昇のみの場合は
再燃として取り扱われないことが多いです

再燃率は 30~57%と比較的高く
ステロイド中止または減量後の2年以内に
起こることが多いとされています

また再燃率は
維持療法持続群で23.3% 中止群で57.9%と
維持療法持続群では有意に低く
重篤なステロイドの有害事象も認めていません

標準的ステロイド治療を施行した場合の再燃率は
1年目で10% 2年目11% 3年目25.8% 4年目30.9%
5年目35.1% 7年目に43%でプラトーとなり

維持量が経口プレドニゾロン5mg/日で
26.1%と最も再燃リスクが低くなります

再燃例の治療は
ステロイドの増量や再投与が推奨されています

また ステロイド抵抗性の難治例への
免疫抑制剤やリツキシマブの有効性が報告されていますが
日本では保険適応外です

<胆道ドレナージ治療>

胆管狭窄による閉塞性黄疸例では
胆道ドレナージを行うことが推奨されています


<予後>

PSC と異なり
ステロイド治療により大多数の症例で
肝・胆道関連死や肝移植を回避でき 予後良好です

また 経過観察中の胆道がん合併は
1%以下とまれです
高橋医院