イスに殺される?
「うーん このままだと 長生きできませんよ」
なんて患者さんに言ったら
ドクハラだ!と怒られるでしょう
確かにそんなことを言われたらショックですよね
でも
このままだとホントに長生きできないのでしょうか
不安が頭をよぎります、、、
というのも、、、
昼間に診療しているときはずっと座っているし
早起きしてブログを書ているときも
もちろん座っていますから
1日のうちで座っている時間は
もしかしたら10時間に迫るかもしれません
そんな生活パターンの書き手の目に
飛び込んできたのが
1日に6時間座る生活をしていると
3時間しか座らない生活の人に比べると
15年以内の死亡確率が40%増える
という記事
えっ?
また つい最近の Ann Intern Med に出た論文によると
1日に8時間以上座る生活をしている人は
4時間程度しか座らない人と比べ
10-20年以内に心臓病 がん 糖尿病になる確率が高く
それにともない死亡する確率も増えるそうです
糖尿病になるリスクは なんと90%も上昇するとか!
しかもそうした生活を続けていると
たとえ頻繁に運動していても
その効果を帳消しにしてしまう
毎朝100回腹筋しても
そのあとずっと座っていたら
腹筋運動の効果は消失してしまいます
つまり長時間座っていることは
肥満や運動不足とは関係なく
健康に害を及ぼす危険因子
なのだそうです
肥満指数のBMIが同じ値でも
座っている時間が長い人ほど
心臓病や糖尿病になりやすい
実はこうした研究成果は
既に世界各地から報告されていて
Sedentary death syndrome
座りすぎが死につながる症候群
と呼ばれています
その弊害は
喫煙による弊害に勝るとも劣らないと推測されているとか
ちょっと マズイじゃない
どうして長時間の座位が
健康に危険を及ぼすかというと
長い時間座っていると
脂肪燃焼率が大幅に下がり
善玉コレステロールが減り
逆に悪玉コレステロール 中性脂肪が増え
インスリンが効きにくくなる
したがって
動脈硬化が進んで心臓病になりやすくなるし
インスリンが効きにくいので
糖尿病になりやすくなる
また長時間の座位により
染色体損傷や細胞老化を防ぐ
テロメアという構造体が短くなり
老化しやすくなるとの報告もあります
テロメアの長さが保たれた方が老化しませんが
運動時間を増やすより
座っている時間を減らす方が
テロメアの長さを伸ばすそうです
なるほどねぇ、、、
でも 立って診察するわけにもいかないし
どうすれば良いのでしょう?
対策はいたってシンプル
30分から1時間にいちど 1-2分立つだけ
で 座り続けることの悪影響から
逃れることができます
しかも 一定時間だけ集中して運動するより
少しずつでいいから
立って体を動かす方がより効果的だとか
座っている時間を分割すること
30分~1時間ごとに
1-2分立って椅子から離れること
が大切で
アメリカでは 仕事の会議を立って行ったり
オフィスのPCデスクを
スタンディング仕様にする会社もあるとか
これからは診察室に入って来られた患者さんに
いちいち立ってご挨拶しようかな?(笑)
一方 座っている時間が長く運動もあまりしない人が
「1日20分の早歩き」をすることにより
死亡率は7.4%減るそうで
この効果は
肥満の改善による死亡率の低下(3.7%)を
上回るそうです
無理なダイエットに励むより
短時間でもいいから地道に毎日運動しましょう
ということですね
そうか~
立ち食いそば屋でそばを食べて
スタンディングバーで酒を飲んで
早歩きで帰ればいいんだ
ん? ちょっと違いますか?(苦笑)
皆さんも
イスに殺されないようにご注意ください!
高橋医院