人形遣い 太夫 ときたら 
文楽の3本柱で残るのは 三味線弾き

テレビなどで
三味線の音色はたびたび聞いたことがありますが

初のナマ文楽で初めて耳にした三味線の感想は

音がでかい! 

太夫に負けず劣らずの迫力があります


国立劇場の売店で購入した文楽の入門書を読むと
文楽で使われる三味線は 太棹 と呼ばれ 
清元や小唄で使われる三味線と比べて 
いちばん大きく いちばん大きな音が出るそうです

 三味線の写真

三味線弾きは床で太夫の横に座り 
太夫をサポートするように
臨機応変に音を奏でていきます

太夫が
床本を見つつ 上半身を躍らせながら
表情豊かに語り唄うのに対して

三味線弾きは
常にポーカーフェイスで 
まっすぐに前を見ながら淡々と弾いていく

三味線弾きのモットーは
心は熱く 手先は軽やかに だそうです

 三味線を弾く様子

太夫がストーリーを語る場面では
静かに情景に奥行きを持たせるように爪弾き
歌う部分では
派手に伴奏して大いに盛り上げる

三味線弾きの鉢さばきひとつで
場面が瞬時に一転してしまう 

そんなドラマテイックな効果さえ
見せてくれます


そしてシチュエーションによっては 
三味線弾きがリードして
太夫に歌わせているように感じることもある

まさに太夫と2人で
舞台空間を作り上げていく感じです

舞台空間の写真
 
太夫と三味線弾きの関係は 
微妙で奥深いようです

だから
太夫と三味線弾きは
あまり年齢が近くない方がよいそうで
年配の太夫に若い三味線弾きの組み合わせか 
逆に若手の太夫にベテランの三味線弾きの組み合わせが良く

前者は太夫がリードして
若い三味線弾きを育てていく

後者は逆に三味線弾きがリードして
若い太夫を育てていく

まさに 姉さん女房か 幼な妻か?(苦笑)

 姉さん女房 幼な妻の写真

以前 テレビのドキュメンタリー番組で
歌舞伎の清元・高輪派の若き家本の延寿太夫と 
高輪派と袂を分かった高齢の天才三味線弾き・梅吉
の交流を見ましたが

延寿太夫 梅吉の写真

初めてふたりで稽古したとき
梅吉は延寿太夫に

「あなたの唄いには品がある
 それを更に深めるお手伝いをしましょう」

なんて言われたのですよ

きっと梅吉さんは 三味線弾きが太夫を育てる 
という信念をお持ちなのでしょう


また 長年コンビを組んできた太夫が病で亡くなった後
三味線弾きがあとを追うように入水自殺をしたこともあるとか

床に並んで座る太夫と三味線弾きの間には
色々なドラマがありそうですね
世話物が取り扱うテーマより よほど面白いかも?

さて 冗談抜きで
今度は西鶴の世話物を見に行こうかなと 
かなり真剣に考えています(笑)
高橋医院