中央区・内科・高橋医院の
お酒と健康に関する情報 


アルコール性肝障害の患者さんが
外来で必ず言われることが

「週に2日は飲まない日 
 休肝日を設けてください」

休肝日の看板

でも どうして休肝日が必要なのでしょう?

ヒトがお酒を飲み終わって寝たあとも
肝臓は働き続けてアルコールを代謝しています

適量と言われる20gのアルコールを代謝するのに
個人差があるものの 約6時間程度かかります

もっとたくさん飲めば 
さらに長い時間 肝臓は働くことになります

肝臓はアルコール代謝だけをしているわけではなく
他にもさまざまな重要な代謝・解毒作用をしていますから
できるだけ肝臓を休ませてあげないといけない

だから休肝日を設けてください というのが理由です


デンマークで行われた臨床研究は
お酒をほとんど毎日飲む人は 
週に2~4回飲む人に比べ
アルコール性肝障害のリスクが3.7倍に上昇することが
明らかにしましたが

このデータも 
週に2日以上の休肝日が必要なことを示唆しています

また日本の多量飲酒者では
1週間で飲むアルコール量は同じでも
休肝日がないヒトは 2日以上あるヒトと比べて
総死亡リスクが1.5倍以上上昇することが示されています

多量飲酒者の総死亡リスクへの休肝日の効果

こうしたデータを踏まえ 
日本のアルコール健康医学協会は

*お酒を飲むと肝臓には中性脂肪が蓄積され
 胃や腸といった消化管の粘膜も荒れてくるので
 これら臓器の修復のため 
 週に2日程度の休肝日を作ることが必要

*この際に気をつけたいのが
 週5日続けて飲酒して2日連続で休むのではなく
 2~3日飲んで1日休む習慣をつくること

*休肝日を作ることは
 アルコール依存症を防ぐことにつながる

とコメントしています

アルコール依存症を視野に入れて
そのために体内のアルコールを完全に代謝しきる ゼロにする
という目的からは 2日連続して飲まない方が良いのですが

単純に肝臓を休ませる という意味合いからは
2~3日飲んで1日休む習慣をつくることが有用になります


と ここまで週2日休肝日必要説の解説をしてきましたが
実は休肝日を声高にプロパガンダする本当の理由は

1日の飲酒量が適正飲酒量を越えて
毎日飲酒している人の
総アルコール摂取量を抑制させること なのです

適量飲酒を守れない人に 
1日あたりの飲酒量をセーブさせるのは難しいから
それなら飲む日数を減らしましょう

という趣旨です

1週間の飲酒量 休肝日の有無 総死亡率の関係

上のグラフで示されているように
1日飲酒量が40gの肝硬変リスク飲酒量を
越えなければ(1週間280g程度)
休肝日があってもなくても死亡リスクは変わらないけれど

1日飲酒量が40gを越えていると(1週間280g以上)
休肝日の効用が認められます

ということで 1日飲酒量が40g以内の人は
休肝日を設けなくても問題にならない可能性もあります


逆に 休肝日を設けていても
飲む日に大量飲酒したら意味がない 
ということで

ご自分が
1週間にどれくらいのアルコール量を摂取されているか?

まずはその点をチェックされることが大切です

休肝日の目論見は 
アルコールの総摂取量を減らすこと!

この秘められた趣旨を 
どうぞご理解ください!(笑)


高橋医院