2014年の食中毒発生状況によると
ノロウイルスによる食中毒
*事件数では総事件数976件のうち293件(30%)
*患者数では総患者数19355名のうち10506名(54.3%)

で 年々増加傾向にあります

そこで ノロウイルスによる食中毒の予防法を解説します

<家庭での予防法>

家庭で発生するノロウイルス食中毒は
二枚貝によるものがほとんどです

アサリ シジミ ハマグリ
カキ ホタテ
アカガイ トリガイ ミルガイ
アオヤギ ホッキガイ

お店や家庭で食べることが多い
多くの貝類が感染源になり得ます

二枚貝は大量の海水を取り込み
プランクトンなどのエサを体内に残しますが
海水中のウイルスも同様のメカニズムで取り込まれ
その体内で濃縮されます

したがって
ノロウイルス感染が盛んな冬になると
海に排出される生活用水に
ノロウイルスが多く含まれるようになるため
ノロウイルスに汚染された二枚貝の頻度が
増えることになります

ノロ食中毒の原因・二枚貝

しかし 二枚貝の摂取による食中毒は 
生や加熱不足のもので発生しており
十分に加熱すれば食べても問題ありません

二枚貝の加熱調理でウイルスを失活させるには
中心部が 85~90℃で 少なくとも90秒間 の加熱が
必要とされています

そうした条件を満たすように調理して食べれば安心です


加熱の重要性を喚起するポスター

特に子供やお年寄りなどの抵抗力の弱い方は
加熱が必要な食品は中心部まで
しっかり加熱することが重要です


ノロが感染するパターン


<飲食店での予防法>

食品取扱者や調理器具からの二次汚染を防止することが
とても重要です

ノロウイルスに感染した人の
糞便や吐物は大量のウイルスを含むため

調理施設の食品取扱者が
ノロウイルスに感染していると
ノロウイルスによる食中毒が
発生してしまう可能性があります


ですから
食品取扱者は日頃からご自身の健康状態を把握され 
下痢や嘔吐 風邪のような症状がある場合には 
調理施設等の責任者(営業者 食品衛生責任者等)に
その旨をきちんと伝えるべきです

また 
調理施設等の責任者は
下痢や嘔吐等の症状がある方を 
食品を取り扱う作業に
従事させないようにすべきです

ノロウイルスは 下痢等の症状がなくなっても
通常では1週間程度 
長いときには1ヶ月間もウイルス排泄が続き得るので 
症状が改善後も しばらくの間は
直接食品を取り扱う作業をさせないようにするよう 
注意すべきです

調理器具などからの二次汚染防止に関しては
汚染された貝類を調理した包丁 まな板等から 
生食用食材に汚染が広がる可能性があるので
注意が必要です

汚染された可能性のある調理台や調理器具
*洗剤等を使用し十分に洗浄した後
*次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200ppm)で浸すように拭く
*まな板 包丁 へら 食器 ふきん タオル等は
 熱湯(85℃以上)で1分以上の加熱が有効
*二枚貝などを取り扱うときは 専用の調理器具を使用する
といった注意をしてください

ノロの食中毒予防のポイント

また 
飲食店には不特定多数の方々が来店されるため
そのなかにノロウイルス感染者がおられる可能性も考慮して
特にトイレおよびその周囲を清潔に保つことが重要です

トイレでの注意は 昨日のブログに詳記しましたが
便座 ドアノブなどは
必要に応じて迅速に次亜塩素酸消毒液で処置できる体制を
あらかじめ作っておいた方が良いかもしれません

以上3日間にわたり
ノロウイルスの解説をしてきましたが

適切な方法での手洗いを習慣的に行うことが
一番大事です

ノロウイルスは 予防が一番大切です

このブログの内容を
ノロウイルス感染予防に役立てていただければ幸いです
高橋医院