前回ご紹介した 危険な頭痛
主にくも膜下出血などの
脳の病気によって生じる頭痛(二次性頭痛)は
頭痛全体の10%程度を占めるに過ぎません

残りの90%一次性頭痛とよばれるものです

頭痛の種類の説明図

一次性頭痛
脳の一過性の異常により起こる 
いわゆる「頭痛もち」の人の頭痛
*これまでに同じパターンの発作を
 何回も経験している

*家族が似たような症状の頭痛を自覚している

といった特徴があります

命にかかわるような危険性はありませんが
ひとたび頭痛発作が起こると 
日々の生活に支障をきたすこともある
そんな厄介な頭痛です

一次性頭痛には 
大きく分けて3種類の頭痛が含まれます

*いちばん多いのが 緊張型頭痛

*次に多いのは 片頭痛

*いちばん少なくて比較的稀なのが 群発性頭痛

頭痛の種類とその頻度を示した円グラフ

それ以外にも

鎮痛剤などの使い過ぎによって生ずる頭痛 

もあります

それぞれの頭痛の特徴や対処法については
次回以降に詳しく解説していきますが

頭痛で悩まれている方は 
ご自分の頭痛がどんなタイプかを
知っておられた方が良いと思います


そこで 
頭痛のタイプの簡単な見分け方 
について解説します

いちばんシンプルな見分け方は
痛みの性質が 拍動性か 圧迫性か 
ということ

ズキンズキンと脈打つような痛みなら 
片頭痛

ギュッと締め付けられるような痛みなら 
緊張型頭痛

片頭痛 緊張型頭痛の症状


それぞれ 月に15日以上自覚される場合は
慢性片頭痛あるいは慢性緊張型頭痛と診断されます

頭痛の重症度も 大きなポイントです

頭痛により日常生活がどれくらい支障を受けるかにより

*軽症  
:生活に支障がない

*中等症 
:日常生活や仕事にかなり支障がある

*重症 
:日常生活や仕事ができず 
 寝込んでしまうほどひどい

の3段階に分かれます

頭痛の重症度の説明図

こうした重症度を取り入れた
スクリーニング法もあります

日常生活への支障の度合いが大きい場合は 
片頭痛 慢性頭痛が疑われ

それほど大きくない場合は 
緊張型頭痛 あるいは軽度の片頭痛が疑われます

頭痛の種類の鑑別のためのフローチャート

支障の度合いが大きい場合は
1か月に何日頭痛があるかが 
次のポイントになります

15日以下なら 片頭痛

16日以上なら 慢性頭痛

1か月間に頭痛が起こる日数による頭痛の種類の鑑別

そして 16日以上 頭痛を自覚される場合は
週に何日 頭痛薬を飲むかがポイントです

3日未満なら
 薬物乱用性頭痛の可能性は少ない

3日以上なら
 薬物乱用性頭痛の可能性が大きい

ご自分が悩まれている頭痛がどんなタイプか 
イメージ出来てきましたか?

こうしたことを踏まえて実際の診断では
以下のようなことを詳しくおうかがいします

*頭痛がはじまった時期・年齢 頻度 時間帯 持続時間
・初めての頭痛か 以前から経験している頭痛か?
・以前から経験している場合は
 症状 頻度 持続時間が増してきたか? 
 薬が効かなくなってきたか?

*頭痛発作の様式
・突然始まったか?
・だんだんひどくなっているか 改善しているか?
・予兆や前兆はあるか?
・誘発する要因はあるか?

*痛みを感じる部分はどこか?
・前頭部 ・こめかみや側頭部 ・後頭部や首の後ろ ・眼の奥

頭痛が起こる場所による頭痛の種類の鑑別

*どんなタイプの痛みか?
・ズキズキ? ・締め付けられる感じ?

*痛みの強さの程度は? 

*頭痛以外の気になる症状は?
・発熱 ・吐き気や嘔吐 ・首の辺りが硬い感覚
・麻痺 歩行や言語の障害 視野異常 痙攣などの症状

*日常生活への影響の度合いは?

*痛み止めの薬を飲んでいるか  など

緊張性頭痛 片頭痛 群発頭痛の鑑別表


普段から頭痛で悩まれている方は
ご自分の症状について 
上記の質問事項と照らし合わせてみて

ご自身の頭痛についてある程度イメージを持たれておくと
受診した際の医師とのコミュニュケーションが
スムーズに運ぶと思います

次回から 代表的な頭痛について
詳しく説明していきます
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