善玉としての尿酸
高尿酸血症・痛風のシリーズの最後に 尿酸は決して悪者ではない? という これまでとは少し趣が異なる話題を提供します <尿酸は「抗酸化作用」を有する> 生体内では 常に活性酸素という物質が作られていて これがさまざまな悪さをして 病気になったり 老化の原因になったりします 活性酸素がどうして体内で作られるのか? 具体的にどんな悪さをするのか? といったことについては 近々中に詳しく説明しますが 体内には 活性酸素を抑えこむ抗酸化作用を有する 抗酸化物質があり 活性酸素と抗酸化物質のバランスが 保たれているので 普段は活性酸素の悪さが前面に出てきません 抗酸化物質の代表選手は 赤ワインに含まれるポリフェノールですが 尿酸にも抗酸化作用があるのです しかもその作用はかなり強力で 強い抗酸化作用で知られる アスコルビン酸(ビタミンC)にも ひけをとらないとか 上のグラフに示されているように ◯の尿酸は他の抗酸化物質より 濃度(横軸)あたりの抗酸化作用(縦軸)が 高いのがわかります 尿酸値を上昇させる激しい運動や肥満などは 活性酸素の産生を増強するので 激しい運動や肥満で上昇する尿酸に 抗酸化作用があるのは ある意味で合目的的と言われています 神様は うまい具合に人間の体を作られた ということ? パーキンソン病 アルツハイマー病 多発性硬化症などでは 病気の原因として 活性酸素による神経細胞障害が推定されていますが 興味深いことに これらの病気の患者さんは 尿酸値が低い また 血中尿酸濃度が高い人ほど パーキンソン病の発病頻度は低い こうした事実から パーキンソン病 アルツハイマー病の発病に 尿酸値の低下による抗酸化作用の減弱 が関与している可能性も推測されています ただ 抗酸化作用を発揮するのは尿酸だけではないので 他の抗酸化物質の動態がどうか 明らかにする必要があると思われます さて〆は 「ホントなの?」という ちょっと眉唾な話題 <尿酸値が高い人は 頭が良いかも?> 尿酸はカフェインと同じ分子骨格を有するので 中枢神経を刺激して 知的機能を高める作用がある? との仮説があります 前に紹介したように 歴史上の偉人で痛風に苦しんだ人は ミケランジェロ レオナルド・ダ・ビンチ ダンテ ゲ-テ ニュ-トン ダ-ウィンなど いかにも頭がよさそうな方々です もちろん 歴史上の偉人ではなくても 痛風に苦しんだ人は たくさんおられたのでしょうが(笑) 蛇足ですが 上記の有名人たちは いずれも当時の平均寿命からすると とても長生きだったそうで 長寿の理由を 上述した尿酸の抗酸化作用に求める論もあるようです (こじつけに近い気もしますが:笑) また アメリカ海軍予備兵の検討では *知能テストの成績と尿酸値が相関する *高学歴者は一般集団に比べると尿酸値が高い といったデータもあるようです うーん どうなのでしょう? 尿酸なるもの 痛風や生活習慣病を誘導するだけではなく 実は 頭を良くして 寿命も伸ばしている? まあ 今日の話題は お遊び感覚ということで あまり真剣にうけとっていただかないよう 宜しくお願いします(笑)
高橋医院