紫外線は悪者?
最近 街で見かけるようになった 季節感を感じるものといえば 日傘をさして歩く女性の姿です! 5月は 1年でいちばん紫外線が強い時期ですからね 書き手が小さかった頃は 紫外線を避けるために日傘をさす方は それほど多くありませんでしたが ここ数年で 一気に増えた気がします そこで今日は 日傘は良いけれど 過度のUVカットにはご用心 というお話を 紫外線を沢山浴びると 皮膚が赤く炎症を起こして 軽いやけど状態になります そうなると シミやしわの原因になってしまうので 世の女性の方々は 日傘をさして紫外線を避けられる さらに最近は 日傘だけでなく UVカットのローションやクリームも 外出前に露出部にはたっぷり ばっちり塗られます でも 紫外線は 悪さをしているだけでなく 体にとってとても大切な働きもしているのです それは ビタミンDの合成を助ける作用です ビタミンD 耳にされたことがあると思います 骨を強くするカルシウムの 腸管からの吸収を促進し 尿への排泄を抑制することで 血中のカルシウム濃度を維持して 骨を強くするのを助けます また ビタミンDそのものも 骨を壊す破骨細胞の働きを抑え 骨をつくる骨芽細胞の働きを促進して 間接的に骨を強くすることに貢献します ビタミンDは あたかもホルモンのように 骨以外にもさまざまな臓器に働きかけ 免疫反応の調節や 癌の発症を抑える働きもあります ビタミンD受容体は さまざまな細胞の核内に発現していて 多くの種類の遺伝子の転写制御に関わるため このような多種多様な作用を 発揮することになります 成人の1日に必要なビタミンD量は 約15 μgです ヒトがビタミンDを得る方法は 二通りあり 第一は 食物から得る方法 魚肉 レバー 鶏卵などの動物性食品からは ビタミンD3が得られ 天日干しシイタケ きのこ 海藻類などの 植物性食品からは ビタミンD2が得られます しかし 食物から得られるビタミンDの1日平均摂取量は 約5.5μgで 1日の必要量を満たしていません そこで重要になるのが ビタミンDを得る2番目の方法 日光を浴びて紫外線に 体内でビタミンDをつくってもらうことです バランスのとれた食事をしていても 食事からの摂取量は約5.5μgなので 残りの約10 μgは 日光浴によって補わないと ビタミンDは不足することになります ビタミンDが不足すると 骨が弱くなり 子供はくる病 大人は骨粗鬆症になりやすくなり 最近は 心血管疾患 糖尿病 免疫力低下 うつ 自閉症 癌 なども ビタミンDの不足で生じてくると 報告されていますので ある程度の紫外線を浴びることは とても大切なことなのです 次回は 紫外線とビタミンDの関連について もう少し詳しく解説します
高橋医院