中央区・内科・高橋医院の
健康のための栄養学に関する情報


各ビタミンについて解説していきます

まずは 脂溶性ビタミン から

脂溶性ビタミンは 
A D E K の4種類がありますが
今日は A と D の説明です


<ビタミンA>

@種類

ビタミンAは
植物で生合成されるβ-カロテンが  
小腸で分解されて作られます

カロテンが小腸で分解されてビタミンAが作られるのを示す図

β-カロテンは 
ニンジンの橙色の色素のもととなる物質です

レチノール レチナール レチノイン酸 の
3種類がありますが

レチノール レチナール レチノイン酸の構造図

β-カロテンが分解されて出来るのは
レチノール
一般的にビタミンAというと
レチノールのことを指します

酸化反応により 
レチノール → レチナール → レチノイン酸 に
変化します

酸化反応による  レチノール → レチナール → レチノイン酸の変化を示す図

@働き

*レチノール

エステル型として肝臓に蓄えられ
生殖 成長 上皮細胞の維持に関与します

*レチナール

ロドプシンという物質の材料になります

レチナールがロドプシン合成の材料になることを示す図

ロドプシンは
暗い状況に順応して目が見えるようになる
視覚の暗順応に関わります

*レチノイン酸

核内受容体である
ビタミンA受容体(RAR・RXR)と結合し
転写因子として機能して
細胞の増殖・分化に関わる遺伝子の
発現調節を行います

ビタミンAの転写因子として機能を示す図

それ以外にも

*粘膜 皮膚などを健康な状態に保つ

*免疫力維持 のどや鼻などの粘膜に働いて
 細菌から体を守る

といった働きもあります

前駆体であるβ-カロテンには 
抗酸化作用があります

ビタミンAの作用をまとめた図

@ビタミンAを多く含む食品

β-カロテンは
緑黄色野菜などの植物性食品に
多く含まれますが
吸収されにくく 
油と一緒に摂ると吸収されやすくなります

レチノールは
レバー うなぎ バター マーガリン チーズ 卵などの
動物性食品に多く含まれます

β-カロテン レチノールの違いをまとめた図

日本人は
緑黄色野菜からとるビタミンAが最も多く
4割余りを占めています

ビタミンAを多く含む食品をまとめた図

@欠乏症

ビタミンAが不足すると
上述した暗順応が起こらないので
暗いところで目が見えなくなってしまう
夜盲症がおこります

夜盲症は 
現在の日本ではほとんどみられませんが
栄養状態がよくない発展途上国では
子供が失明する重大な原因になっています

また 皮膚 粘膜の乾燥や角質化などが生じるため
細菌やウイルスに対する抵抗力が弱まり
免疫力低下により感染症にかかりやすくなります

子供の骨や歯の成長障害も起こります

@過剰症

肝臓に貯蔵されますから
過剰になると肝障害をおこすおそれがあります

普通の食事からは 
摂り過ぎる心配はありませんが
サプリメントやビタミン剤を摂取する場合は
過剰にならないよう注意が必要です

また 
妊娠期または妊娠を希望する女性での過剰摂取は
胎児への悪影響が報告されているため要注意です


<ビタミンD>

@体内で合成・活性化されます

ビタミンDが他のビタミンと異なり特徴的なのは
皮膚で合成されることです

ビタミンDは紫外線により皮膚で合成されることを示す図


*合成

皮膚で
コレステロールを原料に作られた
プロビタミンD3から 
紫外線の作用で合成されます

ビタミンDの合成過程を示す図

*活性化

ビタミンDが作用を発揮するには
体内で活性型に変換される
必要があります

まず肝臓で 
25位が水酸化されて 
25(OH)Dに変換され

ついで腎臓で 
1α位が水酸化されて 
1α25(OH)2Dになり

活性型ビタミンD3になります

活性型ビタミンD3になる過程を示す図


@働き

*血中カルシウム濃度の調節

血中カルシウム濃度を
一定に維持する作用があります

血中カルシウムが不足すると 
ビタミンDの働きにより

・小腸でのカルシウム吸収

・骨からのカルシウム遊離・溶出

・腎臓でのカルシウムとリンの再吸収

が促進され 
血中カルシウム濃度が保たれ丈夫な骨が造られます

血中カルシウム濃度を保つ作用をまとめた図

ちなみに 
カルシウム濃度の調節にはビタミンD以外に

・副甲状腺が分泌するPTH(副甲状腺ホルモン)

・甲状腺が分泌するカルシトニン 

が関与します

甲状腺 副甲状腺の位置を示す図
甲状腺 副甲状腺ホルモンのカルシウム代謝への関与を示す図


PTH・副甲状腺ホルモン
カルシウム不足時に副甲状腺から分泌され
上記の機能を促進して 
血中カルシウム濃度を増加させます

PTH・副甲状腺ホルモンは血中カルシウム濃度を増加させることを示す図

カルシトニン
カルシウム上昇時に甲状腺から分泌され
カルシウムを骨に送り造骨を促進し 
血中カルシウム濃度を低下させます

また カルシトニンはPTHの分泌を抑制します

カルシトニンは血中カルシウム濃度を低下させることを示す図

*遺伝子の転写制御

ビタミンDのもうひとつの重要な働きは
さまざまな遺伝子の転写制御を行うことです

ビタミンDは受容体のVDRと結合しますが
VDRは核内受容体なので 
ビタミンDは転写因子として働き

その遺伝子発現制御を介して
50種類以上のタンパク質の合成に
関わっています

興味深いことに
VDRは上述したビタミンA受容体のRXRと
二量体を形成して
機能を発揮します 

ビタミンDの転写因子として機能を示す図

@どんな食物に多く含まれるか

ビタミンDを豊富に含む食品は
比較的限られており
魚介類 卵類 きのこ類などがその中心です

魚介類には
塩さけ100g中に23μg 
しらす干し100g中に46μgと
豊富に含まれています

ビタミンDを豊富に含む食品をまとめた図

@欠乏症

紫外線作用で体内で作られるので
適度に日にあたっていれば
欠乏症にはなりません

日照が足りなかったり
食事からの摂取が不充分で欠乏症になると
くる病 骨軟化症 骨粗鬆症が起こります

カルシウムの吸収 再吸収が不充分になるので
骨や歯の形成が上手くいかず
そうした病気を発症してしまいます

欠乏症でくる病 骨軟化症 骨粗鬆症が起こることを示す図

@過剰症

高カルシウム血症 腎障害 軟組織の石灰化
などをまねくおそれがあります

通常の食事を摂っていて過剰症になることは
ほとんどありませんが

サプリメントなどを服用している場合は
過剰に摂取しないよう注意が必要です

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