変わる女・変われない男
恋愛関係が終わったとき 女性はすぐに前を向けるけれど 男性は未練を残してしまいがち、、、 というお話を しようとしているわけではなくて(笑) 日本医師会雑誌が 2か月続けて Women’s HealthとMen’s Health の特集企画 を組みましたが これが なかなか面白かったです 平均寿命は 男性は女性より7年も短いのですが それだけでなく 男は病気になったら 早く死んでしまう傾向があるそうで 女性はそれに比べ 少し具合が悪くても 粘り強く長生きするとのこと なるほど~ 一方 最近は 歳をとっても寝たきり状態にならず 活動的な日常生活を過ごせる 「健康寿命」が重視されていますが 健康寿命の男女差は 平均寿命より短く 3年間 つまり 要介護状態で過ごす期間は 女性の方が長いのです どうして こうした現象が見られるかというと 男性は がんや心血管疾患などの 短期間にポックリ逝ってしまう病気が多いのに 女性は 認知症やロコモティブシンドロームといった 長期間にわたり寝たきりや介護を必要とする病気に なりやすいから 男性は がんになりやすいですし 動脈硬化の原因になる 血管内皮機能の低下が始まるのは 男性は40代 女性は50代で 男性の方が早く さらに 糖尿病や高血圧といった 動脈硬化を誘導する生活習慣病も多いので 狭心症などの心血管疾患になりやすい それに 同じ病気になっても 重症化率は 男性の方が高いというデータもあります 一方 アルツハイマー型認知症になる確率は 女性は男性より1.3~1.5倍多いそうです 再度 なるほど~ です で どうしてこういうことになるのかというと その原因のひとつが まさに 変われる女・変われない男 女性は 健康意識がとても高く 健診などで異常値を指摘されたり 体調不安があったりすると すぐに医療機関を受診することが多い そして 健康上してはいけないことに対して 比較的 素直に従って頑張る (もちろん 例外もありますよ:笑) しかし男性は 自身の健康に関する意識が低く 健診などで異常値を指摘されても なかなか医療機関を受診しない 確かに 当院でも 企業の保健師さんからの紹介で来られた 男性中年患者さんは なかなか継続して受診していただけないケースが多いです そして 糖尿病 高血圧 肥満といった 病気になりやすい生活習慣 食べ過ぎ 飲み過ぎ 喫煙 運動不足などは 男性に圧倒的に多いのですが 男性は それを指摘されても なかなか変えられない まさに 変われない男 なのです だから 狭心症 心筋梗塞 脳梗塞といった重い病気が ある日突然 青天の霹靂のようにやってきて 最悪の場合は あっという間に ポックリと逝かれてしまう、、、 ちなみに スポーツジムの利用者で 増えているのは60代の女性 減っているのは30代の男性だそうです そうはいっても 確かに仕事に夢中になっている男性に 健康に関する意識を高めて 生活習慣を変えろといっても 現実問題として難しいのは わかるような気がします それに 男性は社会的なストレスも多いでしょうから 男女共同参画が叫ばれる現代は 男女で社会的ストレスを 分かち合う社会にすることも必要 との意見もあります こんなことを書くと 社会で頑張っておられる女性は 男性とは異なるストレスが多いのだから! と 怒られるかもしれませんね(苦笑) でも 逆に 女性はそうしたストレスを感じているので 自衛策として ワークライフバランスを意識した仕事ができるけれど 男性は そうした認識を持てないので 余計に変われないのかもしれません そういえば 昔 バイトしていた企業では 禁煙プログラムに成功すると 報奨金をもらえる制度があって 驚きましたが 変われない男性を変えさせるには 会社がそのような“エサ”を ちらつかせて 受診や継続した治療を励行するのも ひとつの方策かもしれません ちなみに 平均寿命の男女差が少ないのは 男女平等で女性の社会進出が多い北欧で 4年くらい 差が大きいのは 男性がマッチョな国が多く ロシアでは10年以上 日本はその中間の7年 さて この先 日本はどちらの方向に進んでいくのでしょう? ひとえに 男性が変われるかどうか? にかかっている気もします(苦笑)
高橋医院