欲望が生み出したもの
NHKの正月特番 欲望の資本主義 2017 まず 現在の世界を牛耳っている資本主義の特徴を明らかにし その問題点を浮き彫りにします 2001年のノーベル経済学賞受賞者の アメリカ人の ジョセフ・スティグリッツは 30年前に 市場経済のルールが 目先の利益のみを重視するものに書き換えられ その結果 不平等を産むルールになり そのため経済効率性が低下し 生産性が低下している と指摘します そして このルールを 繁栄を分かち合い より公平な分配をうながすものに 書き換える必要があり 具体的には テクノロジー インフラ 教育 温暖化対策などに投資し 新エネルギーに移行し 都市構造を変えるべきである と主張します 長いスパンでものを見ず 目の前の利益の追求にばかり夢中になってしまう 確かに 今の世の中は そうした傾向があると思います 経済に限ったことではありません 一方 チェコ銀行チーフエコノミストの トーマス・セドラチェク 最近日本でも「善と悪の経済学」という大著が 話題を呼んでいますが (書き手も買いましたが まだ積読中です:苦笑) 現代は 成長ばかり気にし過ぎていて 成長を資本主義の絶対必要条件だと信じ込んでいるようで 成長より安定を指向するべきなのに 安定が犠牲にされている と指摘し 人々は 消費するために働いている 消費への果てしない欲望に支配されている でも どんなにもがいても 欲望は満たされない と看破します 成長神話 消費への欲望が 現代人を際限のない働き蜂にして 心身ともに疲れさせている ということでしょうか? ところが ゴールドマン・サックス出身の 投資家でベンチャー企業経営者の スコット・スタンフォードは 資本主義の原点は投資であり 投資の目的は 短期間で金を稼ぎ利益を得ることである と述べ スティグリッツやセドラチェクが批判した 現代の資本主義の性急性を むしろ肯定します 経済学者やエコノミストと シリコンバレーのバリバリのベンチャー経営者の 立ち位置の違いによる意見の差異は面白い なんだか 先端ベンチャー経営者の迫力を感じました(笑) そして番組は 利子について議論を進めていきます うーん 利子の本質的な意義なんて 今までの人生で考えたことがない(苦笑) セドラチェクは 利子は 成長資本主義を発展させる起源であり 金は時を越え 時が金を産む という錬金術が 利子の本質で ヒトはこのシステムを欲望した と指摘しつつ しかし 歴史的に見ると 利子は禁断の果実で 富をもたらすが 問題も起こすもので あらゆる宗教書 哲学書で 利子は否定的評価をされている と 利子のネガティブな面も強調します 利子は 時間を利用して 金を産む 為替は 空間の差を利用して 金を産む 利子や為替は 日常生活で当たり前のように接していますが 指摘されたような意味合いを考えたことは いままで一度もなかったので かなり新鮮で なるほどなあ~ と思いました (笑) さて 今日のまとめは 欲望が かつては 利子というシステムを生み 現代では 短期スパンでの結果や成長ばかり求めるタイプの 資本主義を生んだ ということでしょうか やはり 欲望 恐るべしです、、、
高橋医院