夏型過敏性肺炎
夏にしつこい咳が続く場合は 夏風邪でなく 夏型過敏性肺炎 を疑う必要があります <原因はカビ> 夏に増殖する トリコスポロン というカビによる アレルギー反応で 気管支炎 肺炎になる病気です カビの胞子を吸い込むことで アレルギー反応が起こりますが このカビ菌は 温度20℃以上 湿度60%以上になると 活動をはじめ 高温多湿になるほど 繁殖し胞子をたくさん飛ばします エアコン キッチン 浴室 寝具など 湿気の多いところで繁殖することが多く マンションなどの部屋の気密性の高さが カビの繁殖に適した室内環境を つくる要因となり とくに風通しが悪く 湿度が高くなりやすい場所は 要注意です <症状> 乾いた咳が ずっと長く続く場合は 疑うべきです ひどい場合には 呼吸困難が見られることもあります 初期は微熱も出ますが 慢性化すると熱は軽微で 咳だけが目立つようになります 痰をともなうことは ほとんどありません 初期症状(発熱 咳 頭痛)が 夏風邪に似ているので 夏風邪と間違えられることが少なくありません 血液検査で トリコスポロンの抗体があることが認められると 夏型過敏性肺炎であると診断されます <特徴> 毎年 夏になると 熱がでて咳がとまらなくなる場合は 夏型過敏性肺炎を疑うべきで 6月~10月にかけて発症し 11月になると治まるのが特徴です また 自宅や職場のカビ菌が原因となるので 旅行などに行って 自宅や職場から離れると症状が治まる 場合が多いのも特徴です <治療> ステロイド薬を 軽症の場合は約1週間 重症の場合は2~3週間服用します 短期間の服用なので 副作用はほとんどありません <対応策> 家の中で トリコスポロンが増殖しやすいところを 徹底的に掃除します 水洗いできる場所は 通常のカビ取り剤などで除去し 乾いてから消毒用アルコールを塗ります キッチンや洗面所などの水回りは カビを除去したら 日頃から水はねをふき取り湿気を防ぐ 浴室は 入浴後に壁などの湿気をふき取るだけで カビの発生をおさえることができます カーテンに隠れた窓辺も カビが発生しやすいので ホコリや汚れをためないように こまめに掃除し エアコンも週に一度は掃除します エアコンをつけているときは 窓を開けない人が多いですが エアコンは室内の空気を循環させているだけなので 換気にはならなりません ときどき窓を開けて風を通し カビの胞子などを 外に出すことも大切です
高橋医院