2008年 
リーマン・ショックが起こります

リーマン・ショックのときの様子

金融工学を駆使して生み出された 
住宅ローンの不良債権化に端を発し

アメリカでは 
800万人が家を失い 1000万人が失業し
全世界に大きく深刻な爪痕を残しました

正直に告白すると 
書き手も ちょっと”火傷”しました(苦笑)

リーマン・ショック と書かれた画面

この期に及んで ようやく 
金融工学の罪が 問われ始めます

そして 金融工学者にも
全てではないが 
一部の罪はあると考えられるようになりました

金融工学は重要な技術革新ではあったが
リスクを隠していた部分もあり

粗悪な証券が破綻することに賭けて儲けた 

そんな金融機関すら あったようです

結果的に 
金融工学は暴走してしまった

金融工学が暴走する様子

前提条件を常にチェックして
壊れたときにどうなるかを考えてやらないと 
危ない

数式の前提が崩れると 
数式は機能しなくなる

物理学や数学と金融の世界は 
似て非なるものだった

語る大志を持って金融の世界に転向した科学者

大志を持って金融の世界に転向した科学者たちは 
今になって述懐します

私達は 思い違いをしていたのです

語る大志を持って金融の世界に転向した科学者2

人間がパニックになると 
どんな行動をとるか 
そのとき価格がどう動くか

それを数学や物理学で計算するのは不可能だ


うーん このコンテクストだと
ノーベル財団さんは 
1997年以降の
世界の経済状況の紆余曲折を鑑みて
自嘲を込めて 
今年の賞を行動経済学に与えたのかな?(笑)

行動経済学の本


それに 金融工学は 
他の自然科学で行われる実験が出来ないので
実際にお金を投入して取引をしないと 
検証できない

また 金融工学はブラック・ボックス

数式は 表に出れば 
真似られてしまうので
決して表に出ることはない秘密主義
(数式では特許がとれない 
 というハンデもあるようですが)

オープンにされていない 
議論が出来ない 

それでは 発展できない


だから 
金融工学は 本来の科学ではない

とする意見もあります

金融工学は 本来の科学ではない と異論を唱える人

リーマン・ショック後には 
こうした議論を背景に
金融機関の動き 金融派生商品への
規制が必要という意見が出てきて

現在 多くの規制がかけられ 
コントロールされようとしています

その一方で 
規制に対応した新たな金融工学を
開発している科学者もいて

彼等は 
規制を新たな利益を得るチャンスと 
とらえています

科学者は 
障害があると
乗り越えたくなるそうです(苦笑)


さらに最近は 
AIの参入という 
新たなトピックが世を賑わせています

クリスタルという洒落た名前のAIは
過去20年間の膨大な市場データにより 
有利な売買パターンを学習し

High Frequency Trading HFT 高頻度取引 
と呼ばれる
まばたき1回の間に1万回の取引という
圧倒的なスピードによる売買を行います

高頻度取引について説明した図

人間は 対応不可能です(苦笑)

やがて 
コンピューターがトゥルースを生み出す時代が
来るかもしれません

トゥルースの基本は人が作り 
AIがそれをより効率的に改善する

しかし
AIコンピューターの暴走による 
瞬時の異常な株価の変動も起こりました

AIコンピューターの暴走による 瞬時の異常な株価の変動を示すグラフ

何が金融危機のきっかけになるか 
原因を特定できなくなる時代
そんなリスクが囁かれ始めています

所詮は 
その時代の技術の限界を越えた金融危機には 
対応できないのです


では そんなお騒がせの金融工学は 
世の中に必要なのか?

多くの市場関係者は ないとダメ! 
と言われます

今更 
勘 経験 度胸の世界には戻れないし
既にシステムのバックボーンになっているので
金融工学なしの市場は成り立たない


では 金融工学者の社会的責任は 
どうなのか?

もちろんそれは重大で
金融は知識の格差が非常に大きいので 
ブラック・ボックス化できやすいため
余計に倫理感を持ち

何が正しくて 
何をやってはいけないか 
という考えをしっかり持ち
金融工学的手法に取り込む必要がある

その不具合により
被害を受ける人がいて
社会的影響が大きいことを
認識すべきである

市場関係者は 
そのように自らに警鐘を鳴らしています

ただ 彼等のホンネの中には
強欲な面がないと金融工学者には向かない 
という意見もありました

まあねぇ 
これまでも何回か話題提供しましたが

ヒトがその本性の一部である
 ”強欲” をコントロールするのは
簡単ではありませんからね(苦笑)

強い欲望で表情がゆがむ人

そして ソープもショールズも
いくつも会社を破綻させ 
多くの人々に不幸を及ぼしましたが

ともに70歳過ぎて 
悠々自適の生活を送っているそうで

さらに今年2月には 
トランプ政権により
リーマン後に続いていた金融市場への規制が 
緩和され始めました

金融市場への規制の緩和を知らせるニュース

さて 世界の経済は 
どんな方向に進んでいくのでしょう?

過ちを再び繰り返さず
地に足がついた発展を遂げられるのでしょうか?


エピローグには 
ニュートンのこんな言葉が登場します

星の動きは計算できるが 
人間の狂気は計算不可能だ

人間の狂気は計算不可能だ と書かれた画面

そして番組は こんな警句で〆られます

トゥルースは 
狂気さえも計算できるか?

科学は誘惑する

科学は誘惑する と書かれた画面

うまい!(笑)

この番組の企画制作に携わった方々のセンスに
敬意を表したいと思います!


で 最後に

リーマンで火傷してから 
色々と勉強した書き手は
正直言って こう思うのですよ

額に汗して働いて得たお金と
金融工学的に楽して(?)儲けたお金 
Easy Money  では
持つニュアンスが少し違わないかな?

Easy Moneyの上に胡坐をかく人

こんなことを書くと
お金に質の差があるか! 
と 怒られるでしょうか?(苦笑)





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