胃食道逆流症の薬物治療
胃食道逆流症の薬物治療について 説明していきます 今日はタイプ別の治療方針の解説です <びらん性胃食道逆流症の治療方針> 十分な酸分泌抑制が出来れば ほとんどの場合は治癒します @軽症の場合は *プロトンポンプ阻害剤(PPI) を用いた初期治療で ほぼ治癒に至ります *症状も1.5日で完全消失して 速やかな改善効果が見られます *長期にわたる維持療法は オンデマンド治療を行います (オンデマンド治療については あとで説明します) @重症の場合は *PPIでは治癒しにくい治療抵抗例が 3~4割存在します *新しいタイプのPPIのボノブラサン(タケキャブ)は 従来のPPIに比べ治療効果が優れており 抵抗例の治療に効果を示しています *長期維持治療は PPIを用いた維持療法を行います *タケキャブを用いた維持療法の有用性は 今後の検討課題になっています <非びらん性胃食道逆流症の治療方針> @PPIの成績は良くない 前回 ご説明したように 非びらん性(NERD)では 症状発現に酸逆流以外の要因も関与するため 薬剤で十分な酸分泌抑制を行っても 治癒に至るとは限りません 特に *酸以外の逆流による胸やけ や *逆流が関与しない機能性胸やけ は PPI治療では難渋することが少なくありません PPIによる症状消失率は プラセボより35% ヒスタミン受容体抑制剤(H2RA)より20%高く PPIが第一選択薬になります しかし PPIの奏功率は びらん性に比べ20%も低いと 報告されています PPIを増量しても 効果はかんばしくなく 現在 そうした症例への タケキャブの効果が検討されています @抵抗例でのPPI治療の併用薬 *消化管運動改善薬 ガスモチンなどの胃の運動をよくする薬 *六君子湯 胃の運動をよくする漢方薬 *アコファイド 機能性デイスペプシアで使われる薬 *抗うつ薬 などの薬が試みられています こうした薬は 非びらん性胃食道逆流症の症状発現に 関与するとされる 胃酸の逆流以外の要因の 改善効果がありますから 併用により治療効果の上乗せが期待されます 実際に当院の患者さんでも ガスモチンの併用などは好評を得ています 次回は 使われる薬について詳しく解説します
高橋医院