前回説明したように
麻疹ワクチンは 
風疹ワクチンとセットで接種されることが多いので

ここで風疹についても解説します


<風疹とは>

風疹は 
発熱 発疹 リンパ節腫脹 を特徴とする 
ウイルス性発疹症です

風疹で特に問題なのは あとで詳しく解説しますが

妊娠20週頃までの妊婦が
風疹ウイルスに感染すると
出生児が先天性風疹症候群を発症する可能性が
あることです

先天性風疹症候群についての説明図

ですから

男女ともがワクチンを受け 
まず風疹の流行を抑制し

女性は非妊時のワクチン接種により
感染予防に必要な免疫を
妊娠前に獲得しておくことが重要です

風疹ウイルスの感染経路は
咳やつばで感染する飛沫感染で 
ヒトからヒトへ感染が伝播します


<流行>

流行は 
春先から初夏にかけて多くみられます

1990年代前半までは 
5〜6年ごとに大規模な全国流行がみられていましたが

男女幼児が定期接種の対象になってから
大規模な全国流行はみられなくなりました


@海外から感染が持ち込まれるケースが増えてきた

しかし 2011年頃から
海外で感染を受けて帰国した後に
風疹を発症する成人男性と
職場での集団発生が
散発的に報告されるようになりました

渡航先は
インドネシア フィリピン タイ インド モロッコ
イタリア スイス ドイツ等でした


その報告患者の9割が成人で 
男性が女性の約3.5倍です

男性は20〜40代に多く 
女性は20代に多いと報告されています

性別 年齢別の感染者数を示すグラフ

<症状と経過>

風疹の症状をまとめた図

@潜伏期

ウイルスに感染から
14〜21日(平均16〜18 日)は
症状がでない潜伏期間です

@主たる症状

潜伏期が過ぎると
発熱 発疹 リンパ節腫脹(ことに耳介後部 後頭部 頸部)
が出現しますが

発熱は風疹患者の約半数にみられる程度です

@発疹の特徴

多くの場合 発疹は淡紅色で小さく 
皮膚よりやや隆起していて
全身に広がるには 
さらに数日間を要することがあります

風疹の発疹の写真

@リンパ節の腫れ

発疹の出現する数日前より腫れはじめ 
3〜6週間位持続します

@その他

カタル症状 眼球結膜の充血を伴いますが 
麻疹に比し軽症です

風疹の臨床経過図

@ウイルスの排泄期間(感染力がある期間)

発疹出現の前後約1週間 
とされていますが

解熱すると排泄されるウイルス量は激減し 
急速に感染力は消失します

また 感染力は麻疹や水痘ほどは強くありません

@予後

基本的には予後良好ですが
*高熱の持続
*血小板減少性紫斑病(1/3,000〜5,000人)
*急性脳炎(1/4,000〜6,000人)
などの合併症により 入院が必要になることがあります

成人の症状の特徴

発熱や発疹の期間が子供に比べて長く
手指のこわばりや痛みを訴えることも多く
関節炎を伴うこともありますが(5〜30%)
そのほとんどは一過性です

ちなみに 書き手は高校生のときに 
風疹に罹りましたが
1週間ほど 熱と発疹のかゆみに悩まされ
結構つらかったという記憶があります


<治療>

発熱 関節炎などに対しては
解熱鎮痛剤が用いられますが

特異的な治療法はなく
症状を和らげる対症療法が中心になります


高橋医院