糖尿病と感染症 がん
糖尿病の患者さんは 免疫機能が低下しているので 感染症やがんになりやすい傾向があります <感染症> @インフルエンザ 肺炎 肺結核など 糖尿病患者さんでは 細菌と戦う白血球の機能が低下していて 特に血糖コントロールが不良の場合は 肺炎などの感染症が重症化し 遷延しやすい傾向があります また 糖尿病患者さんでは 肺炎の患者さんが多く インフルエンザでの入院が多いことも 報告されています ですから インフルエンザワクチンは 是非 毎年 接種すべきですし 肺炎予防のために 肺炎球菌ワクチンも接種が推奨されています 肺結核のリスクも高く *新規の肺結核患者さんの約15%が 糖尿病を有していた *HbA1cが高いと 結核発病のリスクが高いこと も 報告されています @糖尿病でしかみられない特殊な感染症 糖尿病でしか見られないような 特殊な感染症もあります *悪性外耳道炎 *気腫性膀胱炎 気腫性腎盂炎 気腫性胆のう炎 *内臓 軟部組織の膿瘍 *蜂窩織炎 皮下膿瘍 *足の感染症に続発する骨髄炎 壊死性筋膜炎 などです これらの特殊な感染症は 糖尿病がないと発症しないことが多く 逆に糖尿病の患者さんに発症すると 重篤化して命に関わることもありますから 注意が必要です こうした感染の場合は 入院して厳密な血糖コントロールを 行う必要があります <がん> @これまでの国内 海外の多くの研究により 糖尿病患者さんでは 結腸がん 肝臓がん 膵臓がん 乳がん 子宮内膜がん 膀胱がん などのリスク上昇が報告されています @日本の大規模な検討では 糖尿病でない方に比べ 糖尿病患者さんでは 男性 女性とも約1.2倍 がんになり易い 特に *結腸がん(1.4倍) *肝臓がん(1.97倍) *膵臓がん(1.85倍) で その傾向が著明でした @糖尿病が 本当にがんのリスクファクターか? それは まだ はっきりとしたことが言えないのが現状です 糖尿病とがんとの間には 慢性炎症などの共通のリスクファクターもありますが 糖尿病の予防が がんの予防にダイレクトにつながるかは 不明な点も多い しかし 上述したようなデータがあることも事実ですから 糖尿病の患者さんは 定期的ながんの検査をすることをお勧めしています
高橋医院