禁煙治療で使用される薬剤
禁煙治療で用いられる
禁煙補助薬について詳しく説明します
@ニコチンガム
(商品名 ニコレット ニコチネルミント)
ニコチン・レジン複合体を
ガム基材に含ませたもので
チューインガム状で
ゆっくりかむことにより
ニコチンが口粘膜から吸収されます
ニコチンを
口の粘膜から吸収することで
禁煙時のイライラ 集中困難などの
離脱症状が緩和されます
吸収されるニコチンの量は
喫煙によって吸収するニコチンより少量で
急速な血中ニコチン濃度の上昇はみられず
安全に使用できます
また 口のなかで噛むので
ニコチン補充と口寂しさを
同時にまぎらわすことができます
さらに 使用量を徐々に減らすことで
無理のない禁煙が可能になります
効果発現までの時間が
ニコチンパッチに比べて短く
はさみで切る
2個連続で使用する
噛み方を調整する
などの方法で
ニコチン吸収量の調整がしやすいのも
利点です
使用上の注意としては
不用意に長く使うと
ニコチンガム依存になることがある
義歯の人は使いにくい
といったことがあります
副作用は
口内炎 のどの痛み
はきけ 嘔吐 胸やけ 食欲不振 下痢などで
頭痛 動悸 顎関節症状の悪化も認めます
@ニコチンパッチ
(商品名 ニコチネルTTS ニコチネルパッチ ニコレットパッチ シガノンCQ)
一日に一枚 皮膚に貼ることで
ニコチンがパッチを貼った部位の皮膚から吸収され
離脱症状を緩和します
標準使用方法では
8週間の使用となっています
ニコチネルTTSは
30 20 10と3種類のサイズがあり
それぞれ52.5mg 35mg 17.5mgの
ニコチンを含有しています
医師の指示に基づき
禁煙開始後 段階的にサイズを小さくしていき
小さくしていくことで
無理なくニコチンの量を減らせます
ニコチネルTTSは
医師の処方箋が必要ですが
ニコチネルパッチ ニコレットパッチ シガノンCQは
薬局で購入できます
ニコチンパッチに対して依存が生じることは
ほとんどないとされています
副作用は
発赤 かゆみ等の皮膚症状があり
貼付場所を毎日変え 早めにはずす
などの対処をします
ときに 夢 不眠が起こることがありますが
寝る前にはずすようにすれば大丈夫です
頭痛など
ニコチンが多すぎる症状が起こるときがありますが
その場合は 1サイズ小さいものにします
ニコチンによる
心血管疾患の発症に関しては
ニコチンパッチは安全であり
心血管系の有害事象を引き起こすことはないと
されています
しかし 心筋梗塞直後や
重篤なまたは不安定な狭心症の患者さんについては
これらの製剤の安全性は確立されていません
@パレクリニン(商品名 チャンピックス)
2008年1 月に承認された内服薬です
ニコチンを含まないタイプで
吸っても美味しくなくなる作用により
離脱症状改善作用を発揮します
脳内のα4β2 ニコチン受容体に結合し
部分作動薬(アゴニスト)として作用することで
ニコチン製剤と同様に作動薬として
ドパミンを分泌させますが
ドパミンの分泌量が少ないため
禁煙にともなう離脱症状や
タバコへの切望感を軽減させます
一方 服用中に再喫煙した場合には
拮抗薬(アンタゴニスト)としても作用し
α4β2ニコチン受容体にニコチンが結合するのを阻害し
喫煙から得られる満足感を抑制します
吸っても美味しく感じません
12週間までは保険適応で
それ以降は自費になります
禁煙開始予定日の1週間前から服用開始し
(この期間は喫煙してもよい)
最初の1週間は
徐々に服用量を増やしていきます
治療12週終了時の持続禁煙率は
78.5%と報告されていて
アメリカの標準治療ガイドラインによると
プラセボ群と比較して
3.1倍禁煙しやすい
国内臨床試験では
1.8倍禁煙しやすいことが報告されています
眠くなったり
意識障害が現れることがあるので
車の運転などの危険をともなう機械の操作は
行わないようにします
副作用としては
吐き気 頭痛 腹痛 便秘 などがあります
嘔気は
服用し始めの1~2週間に最も多く
必要に応じて 制吐剤を処方したり
用量を減らします
統合失調症 双極性障害 うつ病等の
精神疾患のある患者さん
重度の腎機能障害のある患者さん
血液透析を受けている患者さんには
慎重な投与が必要です
ニコチンパッチとニコチンガムの併用は
長期間の禁煙率が単独の場合より
増加するとされていますが
ニコチン代替療法とバレニクリンの併用例では
高率に嘔気や頭痛などの副作用が認められたため
併用してはならないとされています
高橋医院