治療終了後に大切なのは 
再喫煙の予防です

<再喫煙>

再喫煙によって
喫煙習慣に戻ってしまうことは 
残念ながらよくあることです

@心理的依存が難敵

その場合 
ニコチンによる身体依存でなく
習慣による心理的依存が
原因になることが多いようです

ニコチンの身体依存 心理的依存についてまとめた図

2週間から2ヶ月程度で
消退してゆくことが多い
身体的なニコチン依存と違い
記憶に起因する心理的依存は 
禁煙後も長期にわたり出現し
再喫煙を引き起こします

心理的依存は禁煙後も長期にわたり出現し再喫煙を引き起こすことを説明する図

@再喫煙が起きる頻度と時期

再喫煙防止プログラムの支援を受けない場合には
禁煙した人のうち
およそ80~90%が
1年後には再喫煙すると言われています

再喫煙のほとんどは 
禁煙開始後3~6か月に発生するため
この時期の支援がとても重要になります
逆に 6か月を乗り越えれば 
成功率は維持できる確率が高い
頑張りどころです


@再喫煙のきっかけ

宴席でタバコを勧められる
仕事上のストレス 等の
さまざまな些細な出来事が
再喫煙のきっかけになってしまいます

@再喫煙の対策

禁煙の継続のためには

受診の機会や電話等を活用して
喫煙再開の危険の高い状況への気づきと
その対処法等が身に付くように
支援する必要があります

再喫煙防止のためには 
油断は禁物です

@1本でもダメ!

1本くらいなら 
吸っても元に戻らないかな?
というような気持ちがわいてきたら 
要注意です

1本くらいなら 吸っても元に戻らないかな?というような気持ちがわいてきたら要注意であることを示す図

ほんの少しなら とか もう大丈夫 
などと過信せず
気持ちをしっかりと引き締めましょう

たとえ一服の喫煙でも 
それまでの禁煙努力が報われず
喫煙習慣に戻る可能性が高くなることを
理解する必要があります

<長期継続のための行動療法>

心理的依存に対処し 
長期に禁煙を継続してゆくためには

*喫煙行動に結びつきやすい行動を避ける
*喫煙行動のかわりとなる代替行動をとる

などの行動療法を併用します

@行動療法を続けるための条件

コンプライアンスが良好で
容易に喫煙要求減少効果を得やすい
禁煙薬物療法と異なり
行動療法を続けるためには 
次の3つの条件が必要となります

*行動療法のこまめな実行を促す
 周囲からのサポート
*禁煙に関しての
 良いモデルの存在や先の見通しを持てる状況
*禁煙に関しての正の方向での強化
 すなわち
 禁煙したことがよかったと感じることのできる
 経験を積むこと

行動療法について説明する図

@行動パターン変更法

喫煙と結び付いている
今までの生活行動パターンを変え
吸いたい気持ちをコントロールします

*洗顔 歯磨き 朝食など 
 朝一番の行動順序を変える

*いつもと違う場所で昼食をとる

*食後早めに席を立つ

*コーヒーやアルコールを控える

*食べ過ぎない

*過労を避ける

*夜更かしをしない

*電話をかけるときに
 タバコを持つ側の手で受話器を持つ 
(なるほど~!)

といった行動をします

電話をかけるときにタバコを持つ側の手で受話器を持つ人の写真

@環境改善法

喫煙のきっかけとなる環境を改善し
吸いたい気持ちをコントロールする方法です

*タバコ ライター 灰皿などの
 身近な喫煙具をすべて処分する
*タバコが吸いたくなる場所を避ける
(喫茶店 パチンコ店 居酒屋など)
*喫煙者に近づかない
*タバコを吸わない人の横に座る
*タバコが購入できる場所に近づかない
*自分が禁煙していることを周囲の人に告げる
*「禁煙中」と書いたバッジや張り紙をする
*周囲の喫煙者に
 タバコを勧めないように頼んだり
 自分の近くで吸わないようにお願いする

といった行動をします

環境改善法について説明した図

@代償行動法

喫煙の代わりに他の行動を実行し
吸いたい気持ちをコントロールする方法です

*イライラ 落ちつかないときは 
 深呼吸をする 水やお茶を飲む
*体がだるい 眠いときは
 散歩や体操などの軽い運動をする 
 シャワーを浴びる
*口寂しいときは
 糖分の少ないガム 清涼菓子 干し昆布を噛む 
 歯をみがく
*手持ちぶさたのときは
 机の引き出しなどの整理をする 
 庭仕事や部屋の掃除をする
*その他
 音楽を聴く 
 吸いたい衝動が収まるまで秒数を数える
 タバコ以外のストレス対処法を見つける

といった行動をします

さまざまな代償行動を示した図

こうした行動療法は 
薬物治療が終わってから始めるのでなく
禁煙治療を始めたその日からスタートさせて
生活習慣にしていただくのが効果的です



高橋医院