CKDの食事療法
CKDの治療の柱のひとつが
日々の食事療法です
<エネルギー摂取量>
エネルギーが多すぎると
CKDの原因となる肥満が助長され
糖尿病などのリスクも増えます
一方 少なすぎると
エネルギー維持のために筋肉が壊され
血中の尿素窒素などの老廃物が増え
CKDが悪くなってしまいます
多すぎず 少なすぎず
体重の変化と相談しながら
適切な量のエネルギーを摂取することが肝心です
<食塩制限>
食塩を摂りすぎると
血圧が上がり CKDが悪くなりますから
塩分の制限はとても大切です
高血圧と塩分摂取の項で説明しましたが
日本人の1日の塩分摂取量は10gと多いのですが
CKDでは1日6g未満を目標とします
食塩制限すると
降圧薬の効きが良くなるという利点もあります
但し 極端な制限で
1日3g未満にすると
低ナトリウム血症になって危険なので
注意が必要です
具体的な対策としては
*めん類の 汁 つゆは飲まない
*醤油は かけずに つけるようにする
*汁ものは 具だくさんにして 飲み干さない
*味付けの濃いおかずを減らす
*加工食品を食べ過ぎない
*ラーメン 牛丼 親子丼などは それだけで7gいくので要注意
*梅干し 漬物 干物・シラス・魚卵系を食べ過ぎない
といったことがあげられます
塩分の多い食材やメニューを避けるとともに
醤油などの調味料の使い方に注意することが大切です
<タンパク質制限>
タンパク質が分解されると
尿素などの老廃物ができますが
腎機能が低下していると排泄されず
血中値が上がり尿毒症になります
ですから
腎機能の低下が見られ始めたら
タンパク質制限が必要になるのです
タンパク質制限により
腎機能の回復はできませんが
進行は止められます
@CKDのステージにより
制限の程度が異なります
*1~2では
過剰にタンパク質を摂らないようにする
*3では
1日に0.8~1.0g
*4~5では
1日0.6~0.8g
に制限します
@タンパク質の量だけでなく 質も重要です
体内で合成できない
必須アミノ酸の摂取が不足すると
体の働きに色々と支障が出てきてしまいます
そこで
必須アミノ酸をバランスよく含んだ食品の摂取が
必要になります
*肉 卵 乳製品
*大豆
などを より選択して食べるようにしてください
@上手にたんぱく制限する方法
むやみにタンパク質摂取量を減らすと
エネルギー不足になり
エネルギー補充のために筋肉が壊されて
尿素窒素が増えて
CKDが増悪してしまいます
そこで
炭水化物や脂質で
エネルギーを補う必要が出てきますが
炭水化物を摂りすぎると
肥満や糖尿病のリスクが高くなり
それはそれで
CKDを悪化させてしまいます
ですから
上手にタンパク質摂取量を減らす工夫が求められます
具体的な対策としては
*タンパク質を含む食品の摂取量を
現在量の2/3程度に抑える
*主食を
低タンパク質のタンパク質調整食品の
ごはん パン めん類などにして
その分 おかずを減らさない
*アミノ酸スコアが高い肉 魚 卵は
なるべく減らさない
といったことが大切です
<カリウム制限>
腎機能が低下すると
カリウムの排泄が低下して
血中カリウム値が上昇しますが
カリウム値が増加すると
危険な不整脈が出て危険です
ですから
CKDではカリウムの制限も必要になります
具体的な対策としては
*タンパク質を減らすと
カリウムも減ってくるので
タンパク質摂取を減らす
*野菜や果物はカリウムを多く含むので
食べ過ぎないように気をつける
*肉や魚は
下ゆでするとカリウムが減る
*野菜はゆでる 切って水にさらす
カリウムは水に溶けるので
水にさらされると減ってくるのです
<食事療法を持続することの困難さ>
これまで説明してきた食事療法は
「言うは易し 行うは難し」で
持続はなかなか困難です
*自覚症状がないので
食事療法の必要性がわからない 感じられない
*うまく作れない
*薄味で不味くなり口に合わない
患者さんの多くはそのように言われます
そうした場合の対策としては
*宅配食品などを利用する
*医療機関の管理栄養士に相談する
といったことがあげられます
食事療法は 日々の地道な積み重ね が大事で
それによりCKDの進行を食い止めることができます
是非 頑張っていただきたいと思います
高橋医院