CKDの早期発見 重症化予防
生活習慣病の腎臓バージョンとも言える
慢性腎臓病・CKDについて解説してきましたが
最後に
CKDの予防と早期発見について説明します
ポイントは
*生活習慣の改善による発症予防
*健診で早期発見する
*見つけたCKDを放置せず
適切な治療を行い重症化予防する
ことです
これができれば
重症化して透析に至らないようにすることが可能です
<発症予防>
生活習慣病の徹底した管理 が重要です
@糖尿病 高血圧 脂質異常症 高尿酸血症などの
生活習慣病の治療を適切に開始し
途中で中断しないこと
@適正な体重を維持すること
@CKDを引き起こす
過度の食塩摂取 大量飲酒
喫煙 鎮痛薬などの常用といった
生活習慣を是正すること
繰り返しになりますが
基本になるのは
こうした地道な日々の努力です
<早期発見>
@尿蛋白(尿検査)
@血清クレアチニン・eGFRの検査(採血検査)
を 最低でも年に1回は行うことが推奨されます
これまでしつこく説明してきたように
生活習慣病はCKDの発症の基盤となりますから
生活習慣病がある方は
必ず定期的に 尿蛋白 GFRの検査を行い
CKDの早期発見に努めてください
@検診で尿たんぱくを指摘されたら
に再検査に行きましょう
健診で尿蛋白を指摘された場合に
再検査を受けられる方は
やっと半数に届く程度で
残念なことに
半数の方は無視されています
無視せず
必ず医療機関を受診するようにして下さい
<重症化予防>
@CKDの重症度・ステージを把握する
尿蛋白が頻回に認められ
CKDが疑われる場合は
尿蛋白定量検査 GFRなどの
腎機能検査を実施して
CKDの重症度を把握して
適切な対処をすることが必要になります
@原疾患の診断を行い 原因のコントロールを行う
CKDの原因疾患で重要な疾患は
透析導入が多い
糖尿病性腎症 慢性糸球体腎炎 腎硬化症ですから
それらの疾患の適切な治療を行うことが肝要です
特に 治療によって蛋白尿を減らすことが
大きな目標になります
また 再度 繰り返しになりますが
生活習慣病の治療目標を良好に保つことは
CKD重症化予防の重要なポイントです
目標とすべき最低限の指標は
*BMI 25未満
*禁煙
*塩分 3g/日以上6g/日未満
*血圧は
糖尿病合併では130/80 mmHg未満
非合併では140/90 mmHg未満
*HbA1c 7.0%未満
*LDL-C 120mg/dL未満
です
@糖尿病合併CKDの重症化予防
糖尿病性腎症の早期診断のため
尿アルブミン/クレアチニン比(mg/gCr)の
定量検査が必要です
尿アルブミン/クレアチニン比が
30~299 mg/gCrの
微量アルブミン尿は
心血管疾患の危険因子でもあります
微量アルブミン尿の段階で発見される腎障害は
可逆的で治療効果が高いため
この段階での腎障害の発見が
非常に重要になります
アルブミン尿の程度によって
同じGFRステージでも
心血管死亡や末期腎不全のオッズ比が
異なりますから
糖尿病におけるCKD 重症化予防を予測するうえで
重要な指標となります
このように
糖尿病の方は
尿蛋白定性検査の結果で重症度を判断していると
持続的蛋白尿の出る顕性腎症まで発見されず
予防可能な時期を逃してしまう危険性がありますから
定期的な尿アルブミン/クレアチニン比(mg/gCr)を
受けるようになさってください
高橋医院