香りを纏う
香水ネタを続けますが 日本の香水の売れ行きは 世界の他の国々と比べると 極めて芳しくないそうです クーリエ・ジャポンという雑誌の オンライン版に出ていた記事で フランスのクオリティペーパー「ル・モンド」 の記事がネタもとです
日本のフレグランス市場の規模は フランスの1/3程度しかなく 世界の香水の売り上げの3%にも満たない 日本の美容市場全体においても 香水の割合は10%にも満たず 男性の香水購入はゼロに近いそうで ヨーロッパの老舗香水ブランドをもってしても 日本市場では 大変な苦戦を強いられているそうです どうして日本では香水が売れないのか? ル・モンド紙は解析します そして 好きな香りを自由にたしなむことは 空気を読まないことだと考える そんな日本の国民性が 原因である可能性を指摘します うーん そうなのかな? 世間の人々はそこまで極端に 考えておられるのでしょうか? 読み手の皆さんは どう思われますか? フランスは ルイ14世の時代から 香水文化が発展しているけれど 日本人は歴史的に 香水に対してまったくなじみがない また 今の日本人の日常生活に香水が入る余地はない 香水をつけて日本の地下鉄に乗ったら まわりから怪訝な顔をされた そんな実体験を持つフランスの社会学者さんは 上記のように指摘します そして 歴史的に見て 日本は「水と入浴」に重きを置いている と分析します 日本人女性は 日中の香水を使おうとせず 夜 しっかりドレスアップして出かける場合などに限って たまに香水をつける程度で 日本においてエレガントであることは TPOをわきまえた香水を纏うことではなく 大勢のなかで目立たないようにすることなのです いやー 手厳しいご指摘ですね(苦笑) でも 現実はそうかもしれません お風呂は大好きだし(笑) それでも 状況は少しずつ変化しているそうです 仕事に行くときに いつも香水をつける女性は 未だ少ないけれど 夜や週末を楽しむために 香水を使う女性は 徐々に増えているそうで 香水の消費を からきし期待できない男性についても 若い男性がどんどん海外旅行に行き 外国での香水の習慣を知れば 徐々に自分の日常に 取り入れ始めるかもしれない と メーカーは期待しているようです 確かに 前回ご紹介した香道のように 日本人が香りに全く興味がないわけでは ないようです ただし プワゾンのような強烈な香りが好まれたのは 例外中の例外で 濃厚で深みがある香りが好まれる ヨーロッパや中東に比べて 日本では 軽さのあるフレッシュな香りが好まれる 繊細なほのかな花の香り 果樹園のような香り シトラス系 こうした清潔感のある香りこそ 日本の香水市場を開拓する切り札となる 香水メーカーは そんなふうに分析しています 前述したフランス人の社会学者さんは 日本人の国民性の根底では 「清潔であること」が 他の何よりも重要視されている 香りさえ良ければいい という価値観のフランス人とは 全く異なる しかも日本人はユニセックスな香りを好み 男性らしい香りも 女性らしい香りも 敬遠されがちである と指摘します なるほどね 御説ごもっとも というか 清潔感に大きな価値を置く 軽さのあるフレッシュな香りを好む 女らしさ 男らしさを 強調することは好まない こうした指摘は当たっているのかな? でも気になるのは 日本においてエレガントであることは 大勢のなかで 目立たないようにすることなのです という指摘です これって 日本人が有する美徳の一部では あるのでしょうが 今の世の中 こうしたスタンス一辺倒では まずいような気もします 香水をつけることを むやみやたらに奨励するわけではありませんが TPOをわきまえながら 個性的な香りを身に纏う人が増えたら それはそれで楽しいのではないでしょうか? ところで「香りを纏う」という表現 書き手はかなり気に入っています 多くの人が自分に合った 「纏える」香りが 見つかると良いですね!
高橋医院