イランの酒飲みの話をしたので
今日はイスラム教の食に関連した話題を
提供します

多くの日本人にとって
イスラム教他の宗教に比べて
なじみが薄いと思いますが

それでも最近は 
世界のグローバル化にともない
日本に住むムスリムの方や 
日本を訪れる旅行者の方が増え
大きな空港や駅では
彼等がお祈りをする場所が
作られているようです

駅の礼拝所の写真

そして
イスラム教の
宗教上の戒律に適応するための
ハラールビジネスが
最近は日本でも盛んになってきていますが
そこには大きな落とし穴がある

とニューズウイークが伝えていました

ハラールビジネス

そんな言葉は
聞いたことがない方も多いかと思いますが

イスラム教徒が必要とする
宗教的に許された商品やサービスを
扱うビジネスです

ハラールビジネスについてまとめた図

イスラム教の聖典コーランには

*豚肉を食べてはいけない

*酒を飲んではいけない

といった 
飲食に関する制限の教えがあります

イスラム教の飲食に関する制限についてまとめた図

また 飲食だけでなく
服装や日用品の使用などに関しても 
一定の規律があります

ハラールは
「教義上 合法なもの 許されたもの」
とされますが

何がハラールなのかという議論には
少し厄介な点があるようです

イスラム教徒同士の間では 
その答えは 
属する社会や文化 
個人の見解によって異なる場合があり
そうした違いは
長らく許容されてきたそうです

ハラールについてまとめた図

しかし 
イスラム教信者が世界中に移動するようになり
イスラム世界とは異なる文化のなかでも
生活するようになった現在

東南アジアを中心に
ハラールを認証するというビジネスが
生まれるようになりました

特に 
食品に関するハラール基準が
行われるようになり
その傾向は日本でも目立ってきていて
2020年の東京オリンピックを控えて
そうした動きが著明です

具体的には

コーランで禁忌とされる
豚肉を含まない食品を
公の機関や団体に認証してもらい
イスラム教徒を対象に
販売するビジネスが代表的です

日本ハラール協会のマーク

しかし
日本のイスラム教の専門家の間では
そうしたハラールビジネスに対する
批判的な意見も聞かれるそうです

というのも

イスラムの教義は
神と人間の一対一の契約が基本で
両者の間には
何も介在してはならない

ハラールの基準は 
神のみが決めるもので
ヒトがそれを認証しようとするのは
神の大権の侵害である

というのです

うーん 理屈はわかりますが
ちょっと厳しすぎないかな?

いい加減な書き手は
不謹慎にもそうも感じてしまいます(苦笑)


一方で

ハラールビジネスでの
認証基準があまりにも偏狭で
許されたものの範囲が狭すぎる

という指摘もあります

様々な食品に含まれている豚肉成分をまとめた図

上図に示されたような
豚肉由来の成分が入った食物の摂取や
そうした成分と接触した商品まで
認めないといった
必要以上に厳しい認証基準は

若者のイスラム教徒の間に
「ハラール潔癖症」
とも言えるような
過敏な人たちを増やしているそうです

そして そうした傾向は
イスラム教徒間
イスラム教徒とそれ以外の人々の間に
無用な分断を起こしかねないと
危惧される方もおられるようです

確かに最近は大きなスーパーなどで
ハラール食品を
見かけることがありますが

その背景にこうした問題があるなんて
思いもよりませんでした

ちょっとびっくりです!

宗教上の事柄は
とてもデリケートな問題なので

ある宗教の外側にいる人は
その宗教の信者の人々が
日々の生活で困ることがないように
善意の気持ちで
対処することが多いと思います

特に 
生活の基盤のひとつである
食生活に関連する事柄は
真っ先に解決すべき問題として
対処しがちです

ハラール食についてまとめた図

ただ
それがビジネスとして
単純にマニュアル化してしまうと
上述したような問題が起こりかねない

ということなのですね


書き手は 無宗教ですが
どんな宗教であっても
それは大切な民族の文化だと思っています

ただ 宗教が原理主義に結びつき
それが排他主義に発展するのは
とても危険なことだとも考えています

今日ご紹介した記事で気になったのは
過度な規制が原理主義を
生みかねないという指摘でした

これはどんな宗教でも 
起こり得ることなのでしょう
歴史が教えてくれます

世の中 難しいですね

あなたの知らない世界に
気づかせてくれた記事でした

高橋医院