マッチョな牛 マグロのような鯛
マッチョな牛 マグロのように大きな鯛 そんな牛や鯛 美味しいのかな? 書き手は正直言って そう思ってしまいますが 将来 そうした牛や鯛が 食卓を賑わすことになるかもしれません 読み手の皆さんは 「ゲノム編集」という言葉を 聞かれたことがあるでしょうか? 今世紀最大の科学的発見で ここ数年以内にノーベル賞を獲ることが 確実視されている 遺伝子を容易に自由に改変する技術です マッチョな牛もマグロのような鯛も この技術によって生み出されます そんなホットな話題の 「ゲノム編集」について解説します <ゲノム編集とは?> 特定の遺伝子を特異的に破壊したり そこにレポーター遺伝子のノックイン等を行う 新しい遺伝子編集・改変技術です 特定の遺伝子を 狙い撃ちして 操作できる のが最大の特徴で *簡単に 短時間で出来る *人を含めた あらゆる種の遺伝子に対して出来る *成功率が非常に高い といった利点を有しています これまでには存在しなかった破格な技術で 人間の設計図である遺伝子を 容易に書き換えてしまうことが出来る しかし 使い方を誤ると 大変なことになってしまうリスクがあります ヒト受精卵に対して ゲノム編集を行うと 改変された遺伝情報が 次世代に伝わってしまい 大変危険である それ故に 科学者だけでなく 生命倫理の研究者 一般社会の人も含めた 使い方に関する社会的なコンセンサスづくりが 必要とされています しかし なぜこの技術が それほどびっくりするような代物なのか? ピンとこない方が多いと思います そこで 遺伝子変異 という現象が 一般的にはどのようにして起こるかを 説明をします <農作物や家畜の品種改良と遺伝子の変化> @偶然に生ずる遺伝子の変化 生物の世界では 偶然に生じる遺伝子の変化が 長い年月のなかで 少しずつ積み重ねられてきました 具体的には *DNAを構成する塩基のひとつが 入れ替わる(点突然変異) *DNAの一部がなくなってしまう(欠失) といった現象です 植物や家畜などで 遺伝子変異が起こると その形質(外観や機能)が変化する そのことに気がついた人類が 交配を重ねて 農作物や家畜の品種改良を行ってきたのです たとえば 牛のホルスタインは もともと自然界には存在しませんでしたが 長い年月をかけた交配により 理想的な乳牛を得ることができたました ただ この結果を得るには 数百年という年月がかかりました 遺伝子変異は 基本的には 自然に突然変異が起こって生じますが 遺伝子の突然変異が 有効な品種改良を起こすことに 気付いた科学者たちは 人為的に遺伝子変異を起こす方法を 考え始めました @人為的な遺伝子変化の導入 そして 放射線や化学物質を用いた 人為的な突然変異誘導が行われてきました @遺伝子組み換え さらに 遺伝子工学の進歩にともない 遺伝子そのものに直接手を加えて 人為的に遺伝子変異を起こそうとする 遺伝子組換えという試みが 開始されました 話を続けます
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