アレルギー反応の種類
アレルギー反応は
*反応が出現してくるまでに要する時間
*反応に関わる細胞の種類
により Ⅰ~Ⅳ型 に分類されます
この分類は1963年に発表された歴史あるもので
アレルギー反応の全体像を理解・把握するための
指標となっています
でも書き手は医学生のとき
この分類を覚えるのに
苦労した思い出があります(苦笑)
<補体>
それぞれのアレルギー反応の
詳しい説明をする前に
Ⅱ型 Ⅲ型の反応に関与する
補体 について解説します
補体は
生体に感染した病原体に対して起こる
免疫反応で活躍する
C1~C9の9種類の分子から構成される
システムです
感染が起こると
さまざまな経路により
システムの活性化が起こり
病原体の表面に補体が結合します
そして
システムを構成する分子が
順番に活性化されてゆき
*病原体を免疫細胞により
処理しやすくする(オプソニン効果)
*炎症反応の誘導
*病原体に直接穴をあけて傷害する
といった反応が起こり
生体防御の免疫反応が形成されます
いくつかのアレルギー反応では
補体の活性化が病態の形成に
関わっています
ちなみにこの補体経路も
医学生の時に覚えるのに苦労しました(笑)
では それぞれのアレルギーの型の解説を始めます
<I型>
狭義のアレルギー反応で
即時型 アナフィラキシー型と呼ばれます
抗原に暴露されてから
数分で起こるのが特徴です
肥満細胞(マスト細胞)の表面に
アレルゲンに反応してB細胞が作った
抗原特異的IgE抗体が付着し
その抗体にアレルゲンが結合して
複数のIgE抗体が架橋されて
起こる反応です
この反応が起こると
細胞内に貯蔵されている
ケミカルメデイエーターという物質が
細胞外に放出されます
ケミカルメデイエーターは
下記に示す物質です
*ヒスタミン
*ロイコトリエン トロンボキサン PG PAF
*トリプターゼ ブラジキニン
これらケミカルメデイエーターの作用により
*毛細血管拡張 血管透過性亢進
*心収縮抑制
気管支・消化管平滑筋の弛緩
分泌腺の亢進
などの反応が起こり
I型アレルギー反応になります
他の型の反応に関わる補体系は
I型には関与しません
気管支喘息
アレルギー性鼻炎
アレルギー性結膜炎
蕁麻疹
アトピー性皮膚炎
食物アレルギー
などが I型反応により生じます
<Ⅱ型>
細胞傷害型 と呼ばれる反応で
血液細胞 腎 皮膚などを構成する
細胞の基底膜という部分に
細胞障害性自己抗体が結合し
そこで補体が活性化されて
細胞傷害が起こります
抗体の受容体であるFc受容体が陽性の
NK細胞 好中球などは
標的細胞に結合している抗体を認識して結合し
抗体依存性細胞傷害(ADCC)が起こり
こうした機序によっても
細胞傷害が症生じます
自己免疫性溶血性貧血
グッドパスチャー症候群
重症筋無力症
バセドウ病
などの病気が この反応により生じます
<Ⅲ型>
免疫複合体型 アルサス反応
と呼ばれる反応で
腎 肺 皮膚などの
血管壁 組織内の基底膜などの
標的となる細胞に
抗原と抗体が結合してできる免疫複合体
が付着し
そこで補体系の活性化が起こります
この過程で
C3a C5aという補体成分が放出され
これが種々の細胞を活性化して
炎症が誘発されるとともに
上述したFc受容体陽性細胞も活性化され
これらの現象により
標的細胞の傷害が進んでいきます
急性糸球体腎炎
ループス腎炎
過敏性肺臓炎
皮膚血管炎
などの病気がこの反応により生じます
<Ⅳ型>
遅延型過敏反応 T細胞反応型
と呼ばれる反応で
感作相 惹起相の2相から成ります
感作相で
T細胞が抗原で感作されて
メモリーT細胞が形成されます
惹起相では
感作相でT細胞を感作した抗原が
再度体内に入ってきて
その抗原に反応したメモリーT細胞により
ゆっくりと24~48時間かけて炎症が生じ
病態が形成されます
結核
GVHD
接触性皮膚炎
多発性硬化症
などがこの反応により生じます
<Ⅴ型>
基本的にⅡ型と同じ反応で
細胞膜に発現している受容体に
特異的な自己抗体が
受容体に結合することで
細胞の活性化が起こり
さまざまな症状が生じます
細胞 組織の傷害を
ともなわないのが特徴です
例えば
バセドウ病は
甲状腺細胞が発現しているTSH受容体に対する
自己抗体(抗TSH受容体抗体)が産生され
抗TSH受容体抗体がTSH受容体に結合すると
甲状腺ホルモンが過剰に分泌され
機能亢進症状が出ます
重症筋無力症も
抗アセチルコリン抗体による
Ⅴ型反応により発症します
うーん
なんだかよく解りませんでしたか?(苦笑)
アレルギー反応には
*さまざまな細胞や分子が関与していて
*アレルゲンに暴露されてから
反応が起こるに至る時間が異なる
即時型反応 遅延型反応があること
をご理解いただければ幸いです
高橋医院