勉強したら寝ろ?
睡眠に関する解説を続けていますが ちょうどタイミングよく 睡眠と脳の研究の最前線 についてリポートした ドキュメンタリー番組を見ました 眠っている間は 脳も休んでいるから 睡眠は大切なのだ そんなイメージがありますが 実は脳は 睡眠週に休んでいるのではなく 寝ている間に さまざまな とても大切な働きをしているそうです <記憶の保持に関わる> たとえば 赤ちゃんに ぬいぐるみの一定の動作を見せて そのあとに 昼寝させるグループと 昼寝させないグループに分けます その後 同じぬいぐるみを見せると 昼寝をしなかった赤ちゃんは ぬいぐるみに対して何の反応も見せませんが 昼寝をした赤ちゃんは ぬいぐるみを見たとたんに 昼寝前に見せられた一定の動作を 自ら行うのだそうです 昼寝をした子は 昼寝前にみたことを 記憶として保持しているのです そして その記憶の保持に貢献しているのが 睡眠 大人でも 一定の動作を行ったのちに 寝たグループと寝ないグループでは 寝たグループの方が 効率よく同じ動作をできるようになるそうで 勉強したら その日のうちにすぐに寝ること そうすれば 寝ている間に勉強したことが 記憶として脳に定着する うーん 試験前に一夜漬けするときは 徹夜しないで寝た方が 翌日のテストで好成績がとれるのかも しれません?(笑) <睡眠不足は 脳の機能障害を招く> 良し悪しの感情をともなう記憶 すなわち 直観は 人の日常生活における 論理的思考や意思決定に大きな影響を与え この作業は 脳の前頭前野・腹内側部で行われますが 睡眠が不足していると この部位が働くなるため 直観にともなう意思決定ができず 判断力が低下してしまうそうです 同じような状況は 脳血管障害の患者さんでも認められるとのこと つまり 睡眠不足は 一時的に脳が損傷した状態を誘導するのだそうで たとえば たった2時間 睡眠時間が減るだけで 脳の機能に変化が生じて 判断力の低下などが起こり得るとのこと <睡眠は 食欲制御にも関連する> 睡眠時間が過度に不足すると(5時間ほど) 食欲が増え 間食の量が増え 特に夕食後の間食が多くなります また エネルギーが充分に補給されると 食欲を抑制するレプチンは 睡眠不足により低下し 逆に 空腹時に食欲を感じさせ 食べると食欲を低下させるグレリンは 睡眠不足により増加するので 結果として 睡眠不足の人は 太る! <睡眠中に見る夢についても 新たな知見があります> 人は 夢を見ている間に 脳の中で 昼間に起きた出来事の意味を評価している というのです 睡眠中に 海馬に蓄えられたその日1日の出来事の記憶が 大脳新皮質に送りだされて 他の記憶と関連付けられる 夢を見ている間に 新皮質はフル回転して 複数の記憶を関連付け その結果として 海馬に新たな記憶の維持の有用性の有無を指示する つまり その日の昼間に得た情報が この先も利用できる情報か 重要かどうか判断して 覚えておくか 忘れてしまうか を決定する 日々 脳にインプットされる膨大な量の情報を 篩にかけている ということですね そして 夢の内容は 睡眠中に脳が処理していることを 反映しているそうです 同じような内容の夢を見ることが多いのは そうした処理が関係しているのかな? <睡眠は 脳内の老廃物の排除にも関与している> アルツハイマー病は アミロイドβという物質が 脳内に蓄積することで生じますが 睡眠中には 脳内の血管を介して 脳脊髄液が脳内の老廃物を除去している 睡眠の質の低下 睡眠時間の減少による このシステムの機能低下により 脳内の老廃物除去が上手くいかず アルツハイマー病のように アミロイドβ蓄積が生じる可能性がある つまり 睡眠の質の低下 睡眠時間の減少が アルツハイマーのリスク因子に なり得るかもしれない と なるほどです さて これらの現象の結果として言えることは 睡眠中の脳内の活動が 起きているときの脳の活動を補助している ということで いやー 睡眠 侮れませんね 睡眠の質や時間が悪くなると 糖尿病になりやすいことを 以前ご紹介しましたが 睡眠が さまざまな人の生活や病気に及ぼす ポジティブな影響は奥が深そうです 寝る子は育つ と言われますが 大人になっても 睡眠は大切なようです 夜更かしして わけの解らないブログを書いていないで ちゃんと寝ないと 脳内アミロイドが掃除されずに アルツハイマーになっちゃうかも?(笑)
高橋医院