中央区・内科・高橋医院の
健康のための栄養学に関する情報


ビタミン・ミネラルの
サプリメントの効果
疑問符がつけられていることを紹介しましたが

最近はむしろ
サプリを摂ることによるリスク・健康障害が
喚起されています

サプリを摂ることによるリスク・健康障害について注意を喚起するポスター

<サプリメントのリスク>

@人によっては サプリ摂取により
 アレルギー反応肝障害を起こすことがあります

実際 健康食品やサプリの服用による肝障害は
決して少なくありません

健康食品やサプリの服用による肝障害について注意を喚起するポスター

@サプリと医薬品が相互作用を起こし
 薬の効果が変化したり 
 副作用が増すリスクがあります


サプリと医薬品が相互作用を起こし薬の効果が変化したり 副作用が増すリスクを示す図


具体的には 下記に示すようなことがあります

ビタミンB6は
 抗てんかん薬フェニトインの効果を減弱する

葉酸は 一部の抗がん剤の効果を減弱する

ビタミンKは 抗凝固剤ワーファリンの効果を減弱する

ビタミンC
 抗てんかん薬アセタゾラミドとの併用により
 尿管結石を起こす可能性がある

ナイアシン
 高コレステロール治療薬・HMG-CoA還元酵素阻害薬の
 副作用を増強する

ビタミンDは 心不全治療薬ジギタリスの効果を増強させる

サプリメントと薬の組合せリスクを示す図

カルシウム
 骨粗しょう症治療薬・活性型ビタミンD製剤併用で
 腸管で過度のカルシウム吸収増強が起こるリスクがあり
 ジギタリスの効果を増強し
 骨粗しょう症治療薬・ビスホスホネートの効果を減弱し
 抗生物質・テトラサイクリン ニューキノロンの効果を減弱する

マグネシウム
 骨粗しょう症治療薬・ビスホスホネート
 抗生物質・テトラサイクリン ニューキノロンの効果を減弱する


 骨粗しょう症治療薬・ビスホスホネート
 抗生物質・テトラサイクリン ニューキノロン
 降圧薬・メチルドーパの効果を減弱する

@病人 子供 妊産婦 高齢者 アレルギー体質のある人は要注意

サプリは
健康な大人が摂ることを前提にしているので
病気で治療している人などは
上記のようなリスクが起こる可能性があるので
注意が必要です

薬を服用している人は
基本的にサプリは摂取しないようにすべきですし
どうしても服用したい場合は
必ず主治医に相談してください

特に腎機能障害がある人は
ビタミンやミネラルの排泄に
問題があることがあるので
要注意です


<サプリ服用によるビタミン・ミネラルの過剰摂取のリスク>

ビタミンやミネラルを
たくさん摂るほど効果がある
という説は 
正しくありません

サプリ服用によるビタミン・ミネラルの過剰摂取のリスクを喚起するポスター


これまで通常の食品から摂取していた栄養素を
サプリとしてさらに大量に摂取することのメリットは
現時点では明らかになっていません

むしろ
特定のビタミンやミネラルを
多量に摂ったり長期間摂ったりすれば
健康被害のリスクが高くなると考えられます


<対策>

@含有量のチェック

サプリによるビタミンやミネラルの
過剰摂取を避けるためには
製品に含まれている含有量の確認が必須になります

含有量と書かれたカード

日本人の食事摂取基準には
サプリ等による過剰摂取を防止するため
耐容上限量が設定されていますから
その量を超えて摂取することがないように注意が必要です

耐容上限量を示すグラフ

特に必要量と過剰量との差が少ない

セレン 鉄などの微量ミネラル

ビタミンA ビタミンD などの
 体内に蓄積しやすい脂溶性ビタミン

などは 過剰にならないように気をつけなければなりません

セレン
毒性が強く 必要量と中毒量の差が小さく

慢性的な過剰摂取により
爪の変形 脱毛 胃腸障害 下痢
疲労感 末梢神経障害 皮膚症状等がみられ

多量に摂ると
重度の胃腸障害 心筋梗塞 急性の呼吸困難
腎不全等が起こります


蓄積しやすく
過剰摂取により体内に蓄積した鉄は
組織や器官に炎症をもたらし
肝炎から肝臓がんへの移行等にも関わります

ビタミンA
妊婦が過剰摂取した場合の胎児奇形のリスク

成人では
肝臓への過剰蓄積による肝障害のリスクがあります

ビタミンD
体内での貯留期間が長く
投与を中止しても1ヶ月程度効果が持続します

過剰量を長期にわたって摂取すると
カルシウムの過剰吸収を起こし
高カルシウム血症 腎障害 
軟組織の石灰化等の健康障害が起こります

@一度に多種類のサプリの摂取は避ける

多種類のサプリの同時摂取や
多くの成分が含まれているサプリの摂取により
健康被害の可能性が高くなりますし

被害が起こった場合に原因となった物質の
同定が難しくなります

一度に多種類のサプリの摂取は避けることを勧めるポスター

何種類かのサプリを摂取している場合は
それぞれのサプリに同じ成分が重複していることもあり
過剰摂取になりやすいリスクもあります


<サプリに頼らない食生活を>

サプリに頼るより
食事全体のバランスをチェックすることが大切です

よほどの偏食でなく 通常の食事をしている限り
ビタミンやミネラルを
食事以外からサプリによって
摂る必要はありません

食事全体のバランスをチェックするシート

生の野菜 果物を日常的に多目に摂り
魚や乳製品を多く食べ 
たまに肉を食べる
といった
バランスのとれた食生活をしていれば大丈夫です

サプリでなく
本物の加工されていない食品を
食べるように心掛けて
できるだけ多くの種類の食材を
食べるようにすることが
大切です

高橋医院