アレルギーの検査は
原因となる抗原(アレルゲン)の検索が
中心になります

検査には

血液を用いた方法

皮膚反応を用いた方法

があります


<血液検査>

@血清総IgE抗体価(RIST)

血液中に存在する
IgE抗体のトータルの値

何らかのアレルゲンに
特異的なものではありません

アレルギー性疾患では
上昇していることが多いですが
正常なこともあります

また低くても
アレルギー疾患を否定できません

アトピー型の喘息 皮膚炎で
高値を示すことが多く
喘息では重症化と相関しますが

アレルギー性鼻炎との関連は弱いです

ということで
アレルギー傾向があるという参考になる程度
ということでしょうか?

血清総IgEについてまとめた図

RISTとRASTの差異についてまとめた図
@抗原特異的IgE(RAST)

アレルギーを引き起こす
抗原(アレルゲン)に特異的な検索なので
血清総IgEより信頼性がありますが

RISTとRASTの差異についてまとめた図2


迅速性 感度・特異度では
皮膚テストに劣ります

但し 再現性は高く 
安全性も高いのがメリットです


検査できるアレルゲンは 
下記の各項目に分類されます

*食品類:卵 乳製品 肉類 甲殻類・貝類 魚・魚卵 
     穀物・豆類 野菜 果物など

*ペット:ネコ イヌなどのフケ など

*室内のホコリ:ハウスダスト ダニ など

*樹木(春の花粉):スギ ヒノキ など

*イネ科(春~夏の花粉症):カモガヤ など

*雑草(夏~秋の花粉症):ブタクサ ヨモギ など

*カビ:カンジダ アスペルギウス など

*昆虫:ゴキブリ ミツバチ など

*その他:ラテックス 綿 など

検査できるアレルゲンについてまとめた図

これらのうち
保険診療で測定できるのは13項目が限度なので
問診結果や症状により 
充分に推定される抗原を検討して
調べるべきアレルゲンを決定します


但し RASTの結果が陽性でも
臨床症状がなければアレルギーとは
判断されません

また 皮膚テストと結果が
一致しないこともあります

RAST検査についてまとめた図

<皮膚検査>

@パッチテスト

遅延型アレルギー反応の検索に向いていて
接触性皮膚炎の診断に最も有用です

アレルゲンの候補物質を
アルミ皿などに載せ
それを背中の皮膚に
48時間貼り付けます

パッチテストのやり方を示した図


はがしてから 
1~2時間後 
72~96時間後 
1週間後に
赤くなっていないか 水膨れがないか 
皮膚の反応を見て判定します

パッチテストの結果を示した図

アレルゲンがあらかじめ付着されている 
パッチテストパネルもあります

パッチテストパネルの写真

判定結果と臨床症状の関連性を確認して
総合的に判定しますが
結果が陰性でもアレルギー反応は
否定できません

なお ステロイドの内服 外用は
結果に影響を及ぼしますから
テスト3日前から禁止します


@皮内テスト

この検査も 
遅延型アレルギーの判定に用いられます

アレルゲン液0.02mlを 
前腕内側の皮内に注射し
(コントロールは生理食塩水)
15分後に
膨疹と発赤の大きさを計測して判定します

皮内テストのやり方を示した図

皮内テストを行っている様子

反応が遅れることもあるので
陰性の場合は24時間後にも判定します

検査により
抗原感作させてしまうリスクがあるので
検査液の抗原濃度調整には十分注意します


@プリックテスト

即時型 I型アレルギーの判定に用いられます

前腕の内側にアレルゲンを載せて 
27Gの細い針で刺し
15分後に 
膨疹を形成するかで判断します

陽性コントロールには ヒスタミン溶液
陰性コントロールには 生理食塩水
を用います

陰性の場合は 
5mmほどの線状の傷をつける
スクラッチテストを行います

判定結果と臨床症状の関連性を確認して
最終的に判断します

3日前から抗ヒスタミン薬の服用は
禁止します

プリックテストについて説明した図

<食物抗原特異的IgG抗体について>

最後に アレルギー検査に関して
学会から勧告が出ていることがあります

それは 食物抗原の特異的IgG抗体 についてです


*食物抗原特異的IgG抗体は
 食物アレルギーのない健常な人にも
 存在する抗体である

*食物アレルギー確定診断としての負荷試験の結果と
 一致しない

*血清中のIgG抗体のレベルは
 単に食物の摂取量に比例しているだけである

*よって 
 このIgG抗体検査結果を根拠として
 原因食品を診断し 
 陽性の場合に食物除去を指導すると
 原因ではない食品まで除去となり
 多品目に及ぶ場合は 
 健康被害を招くおそれもある

といった理由から

日本アレルギー学会は
日本小児アレルギー学会の注意喚起を支持し

食物抗原特異的IgG抗体検査を
食物アレルギーの原因食品の診断法としては
推奨しないこと

を学会の見解として発表いたします

という声明が発表されています

食物抗原特異的IgG抗体検査を食物アレルギーの原因食品の診断法としては 推奨しないことを示す日本アレルギー学会の見解書

IgGは血液中にIgEの数十万倍存在するため
RAST検査ではIgEを測定しているはずなのに
IgGも測定してしまい
誤って陽性と診断されてしまうリスクもあるようです

また 食物アレルゲンでは
特異的IgE抗体がある程度高くても
そのアレルゲンを摂取しても症状がでないことが
しばしば経験されるようなので

結果の解釈は慎重に行われるべきと考えられます

高橋医院