減量治療について解説します

<肥満症を治療する意義>

肥満の改善により
合併する複数の健康障害を
一挙に改善できること
減量治療のいちばんの意義です

肥満改善の意義を示す図

しかも
高血圧も 糖尿病も
脂質異常症も 高尿酸血症も
薬を服用しなくても
全部改善できるのです

3~5%の減量により

空腹時血糖 HbA1c 
血圧
中性脂肪 
コレステロール 

のいずれもが
ほぼ正常値にまで改善できます

3%の減量の意義を強調するイラスト

減量の意義は とても大きいのです!


<治療目標>

@目標

食事療法 運動療法により
生活習慣を改善し
体重 内臓脂肪量を減少させることが
目標になります

特に
諸悪の根源である内臓脂肪の減少を
目標とします

蓄積している内臓脂肪

ですから
定期的な体重測定体重測定している人

ウエスト周囲長の測定により

ウエスト周囲長の測定をしている人

減量の度合いを評価します


@減量による効果

多くの患者さんが
いちばんやせていた頃(多くは20代)の体重まで
減量しないと
減量による効果が得られないと
勘違いされています

しかも 
短期間で大幅な減量をされようと
1ヶ月に5Kg以上の減量を試みられる方も
少なくありません

しかし上述したように
わずか1~3%の体重減少で
中性脂肪 LDLコレステロール
HbA1c 肝機能などが改善することが
明らかにされています

また 3~5%の体重減少で
血圧 空腹時血糖値 尿酸値が
改善することも報告されています

ですから 短期間に大幅に減量しなくても
数か月かけて3%程度の減量をすれば
それで充分なのです

この点は
充分に認識していただきたいと思います


@具体的な目標値

*3~6か月で3%以上の体重減少

*高度肥満では5~10%減少

が 具体的な目標値になります


@減量達成率

しかしながら
体重を減らすことは容易でなく

*3%の減量の達成率は 33.3%

*5%の減量の達成率は 19.6%

と報告されています


肥満の患者さんの多くは
「数か月で3%の減量を目標にしましょう」
とお話しすると

「エッ それでいいのですか?」
と驚かれますが
 
しかし 3%の減量
簡単そうに思われるかもしれませんが
侮ってはいけません


<患者さんに理解していただきたいこと>

頑張って減量するぞ! と意気込まれて
減量にストイックに臨まれる方が多いのですが

減量で大事なことは 継続させることです

そのために

*減量すれば
 薬を使わずに高血圧 糖尿病などが
 一度に全部よくなること

*短期間にそれほど頑張らなくても良いこと

*標準体重まで落とさなくても
 3~5%の減量で充分に効果が得られること

を理解していただき

無理のない減量を心掛けていただきたいものです


また 重要なのがリバウンドの回避です

頑張って短期間に大幅に減量しても
リバウンドすると
糖尿病の発症が増加し
心血管病変のリスクも増悪します

特に無理な減量では
ほとんどと言ってよいほど
リバウンドしてしまいます

減量後にリバウンドしてしまった人
一方で 
2年以上 体重減少を維持できれば
その効果はより大きくなります

ですから 
日々の地道な努力が必要なことを
認識していただき
無理のない減量をしていただきたい


そして 最も基本で重要なことは

食事 運動という生活習慣を
いかにコントロールして
肥満を予防するか

ということで

そのために
普段の生活習慣を根底から見直して
改善することです

なぜ太ってしまったか
その原因を分析し対処方法を練ること

そして日々の生活習慣を改善すること

簡単ですぐにできるような
減量治療はないことを
認識していただき

日々の地道な努力を
積み重ねていただきたいと思います

高橋医院